2020年09月04日、『韓国銀行』から07月末時点での「国際収支統計」が発表されました。07月の結果は「経常収支は74.5億ドルの黒字」でした。さっそく韓国メディアでは「7月の経常収支74億5000万ドルの黒字…9カ月ぶりに最大」(『毎日経済』)といった喜びの記事が上がっています。
「さあ、本当に喜べる話かな?」という話です。
韓国の07月の「経常収支」を分解して見てみよう
国際収支統計は、海外との取引の中で黒字なのか赤字なのか、その国が資産を増やしているのか減らしているのかを示します。
面倒くさいという方もほんの少しですからお付き合いください。「経常収支」は、「貿易収支」「サービス収支」「第1次所得収支」「第2次所得収支」という4つのブロックを合計した結果です。
07月の結果は以下のようになっています。
上掲は「貿易収支:69億7,500万ドルの黒字」「サービス収支:11億800万ドルの赤字」「第1次所得収支:19億5,200万ドルの黒字」「第2次所得収支:3億6,700万ドルの赤字」で、その合計が「経常収支:74億5,200万ドルの黒字」となったことを示します。
「貿易収支」は貿易の結果、黒字になってもうかったのか、赤字になって損をしたのかを示します。
貿易の収支ですので「輸出 - 輸入」で求めます。輸出金額の方が多ければ黒字、輸入金額の方が多ければ赤字になります。
「貿易収支」の中身を見てみよう
韓国は輸出1本で食べている国ですので、貿易収支が黒字でないと話にならないわけですが、07月は約70億ドルの黒字です。
2019年01月~2020年07月までの貿易収支をグラフ化すると以下になります。
確かに2020年04月の落ち込みから貿易収支は回復し、2019年11月の「73億9,100万ドルの黒字」以来最大の黒字額になっています。
しかし、貿易収支というのは輸出と輸入から成っています。同時期の輸出入の金額の推移をグラフで見てみます。以下です。
2020年07月の輸入は「432億200万ドル」、輸入は「362億2,800万ドル」。ご覧いただけば分かりますが、輸出はとても2019年の水準にまで戻っていません。では、なぜ貿易収支の黒字が大きくなったかというと輸入が減ったからです。
貿易収支は「輸出 – 輸入」で求めるので、2つのラインの差がすなわち貿易収支ですが、輸入が回復せず輸出との差額が大きくなった結果、貿易収支の黒字が大きくなったのです。
「不況型黒字」を示唆しているのであまり喜べることではありません。輸入を増やすべき購買力が弱っていることをも示しているかもしれないのです。
韓国政府は「災害支援金」の第2次給付を相談するようになりましたが、消費を再度拡大するためには必要かもしれません。残念ながら、その財源はないので借金を増やすしかないのですけれども。
⇒データ引用元:『韓国銀行』公式サイト
(柏ケミカル@dcp)