中国の大手不動産会社は巨額の債務を抱えており、かねてよりデフォルトの危険性が指摘されています。そのため中国共産党は不動産ディベロッパーに債務を管理する規制を敷きました。
促すこれは、2020年08月20日、「住宅都市農村開発省」と『中国人民銀行』(中国の中央銀行)が主要な不動産ディベロッパーを対象にシンポジウムを開催し、そこで提示された規制です。
「Three Red Lines」(3つの赤い線)」と呼ばれていますが、具体的には以下のような内容です。
負債は前受金を除いた資本の70%まで
正味資本が負債の100%以上あること
短期負債は現金性資産の1.0倍まで
正味資本が負債の100%以上あること
短期負債は現金性資産の1.0倍まで
どれに引っ掛かってもアウト(赤)判定になりますが、『Financial Associated Press』によれば、中国共産党規制当局は2023年06月30日までにこの規制をクリアするように、と通知を出したとのこと。
ちなみに中国最大手不動産ディベロッパーといわれる中でも以下の4社は真っ赤です。
負債比率 | 対正味資本負債比率 | 現金性資産対負債倍率 | |
融創(Sunac) | 84.10% | 214.70% | 0.57 |
恒大(Evergrande) | 82.70% | 183.10% | 0.4 |
緑地(Greenland) | 82.81% | 156.64% | 0.79 |
阳光城(Sunshine City) | 77.62% | 135% | 0.98 |
⇒データ引用元:『SINA』「“三道红线”新规加码,踩线房企需在2023年年中之前完成降负债」
問題は、2023年06月まで中国の大手不動産会社がデフォルトを起こさずに済むかです。
先に『エバーグランデ』(Evergrande Group:恒大集団)が2021年01月に「1,300億元」(約2兆円)の償還を行わなければならない件をご紹介しましたが、上掲のとおり同社は3つとも赤判定で、デフォルトを起こさないで済むかどうか怪しいものです。
中国の大手不動産会社はどこも内実は似たり寄ったりといわれます。この債務問題は中国にとって大きなリスクなのです。
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(柏ケミカル@dcp)