中国の通貨「人民元」のレートは中国共産党政府の管理下にあります。以前からご紹介しているとおり、その日の基準値を決め、±2%の変動幅に収まるようにコントロールしているのです。そのため、大暴落がありそうでもそうはなりません。
以下のドル人民元(オンショア人民元「CNY」)チャートを見てください(チャートは『Investing.com』より引用)。赤丸で囲ったローソク足は、春節で休場となっていた市場が中9日で開場した02月03日(月)のものです。
開場までは、03日は人民元は大暴落(大幅な元安が進行)するといわれていました。なにせ新型コロナウイルスのアウトブレイクのため、開場を03日まで延期したほどですから。
いざ蓋を開けてみると……確かに大陽線となっていますが、始値「6.9371元」で終値「7.0215元」ですので「1.21%の元安」となっただけです。
大暴落を楽しみにしていた方はがっかりされたのではないでしょうか。
確かに相場で「1.21%」は大きな変動ですが、世界中で「すわ大暴落か!」と注目された割には下落幅は抑えられました。またその後の値動きも、「1ドル=7元」未満になるように推移しています。
中国こそ立派な為替操作国というわけですが、その代わり相場を維持するために大量のドルを投入していると考えられます。元安の圧力が大きくなればなるほど「ドル売り・元買い」も大量に行わなければならず、ドルが溶けていきます。
中国の焦点は「為替」にあり、ここを突くことこそ中国をドボンに追い込むキーポイントなのです。
以前ご紹介したとおり「その通貨が割高で、いずれ切り下げなければならない」という場合には投機筋による「通貨アタック」の標的になります(ただし元の空売りには独自の困難があります:別記事にてご紹介します)。
エコノミストの安達誠司先生は『中国経済はどこまで崩壊するのか』(PHP新書,2016年)の中で「また筆者は、現段階で中国人民元はまだ小規模ながら、すでに通貨アタックを受けている可能性が高いと考えている」と述べていらっしゃいます(同書P.93より引用)。
中国人民元の固定相場制(事実上の固定相場制みたいなものです)は果たしていつまで継続可能でしょうか?
(柏ケミカル@dcp)