Money1では連日ドルウォンチャートの状況をご紹介していますが、ウォン高が進行しています。「1ドル=1,110ウォン台」まで達したため、韓国では輸出産業に与える影響を懸念する声が上がっています。ウォン高になれば韓国製品の価格戦闘力が失われるからです。
上掲は、ドルウォンの日足チャート(ローソク足1本が1日の値動きを示します)ですが、レートはすでに2019年02月水準まで達しており、これがさらに下に抜かれると「1ドル=1,000ウォン台」で推移する可能性があります。
バイデン大統領がさらにアメリカ合衆国が金融緩和を進めると――要はお金をさらにじゃぶじゃぶまくということですので――為替レートは基本的に通貨量の比で決まりますから――さらにウォン安が進行するかもしれないのです。
対抗するにはウォンをじゃぶじゃぶまけばいいわけですが、韓国は合衆国に「通貨安誘導はしない」という一札取られていますのでそれが実行できるかどうかです(合衆国は行っているので勝手なものですけれども)。
どちらにしても、ウォン安で「すわ通貨基金か?」を抜けたら「ウォン高で輸出危機か?」に突入したわけです。
例えば韓国メディア『中央日報(日本語版)』は『現代自動車』を例に引いて以下のように述べています。
(前略)
今年に入り7-9月期までウォン安により四半期ごとに営業利益として1000億~2000億ウォン水準の利益を出していた現代自動車は、このままならば10-12月期にその利益分をそのまま返上しなければならない状況だ。現代自動車は1ドル=1100ウォン水準を下回った2018年上半期に営業利益が前年同期比37.1%減った。
(後略)
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による
他にも韓国メディア『毎日経済』の記事では以下のようになっています。
(前略)
海外販売比率が80%以上である、現代・起亜自動車はドルウォンレートが10ウォン上がると、売上高が約2,000億ウォン減少することが分かった。全体の輸出実績の合衆国向け物量の割合が30%に達する上に取引代金のほとんどがドルで決済されるためである。
(後略)
『現代自動車』などはもう「そこにある危機」なようです。
韓国の通貨当局は果たして為替介入を行うでしょうか。まずは「外為市場の動向を注視している」などと言う口先介入からでしょうけれども。
(吉田ハンチング@dcp)