「韓国版軽空母」と「韓国版原子力潜水艦」の戦力化を目指している韓国軍ですが、必要・不必要の冷静な議論と査定(予算含む)が行われずに「希望」だけが優先される事態となっています。
上掲は韓国の国防部が公表した「’21-’25国防中期計画」に掲載されている装備の発展図ですが、一番上の段の左端が「韓国版軽空母」、右端が「韓国版原子力潜水艦」とされています(ただしこの資料には動力が原子力とは明記されていません)。
韓国メディアが煽るのもよくない
地政学的・防衛戦略的に軽空母も原子力潜水艦も必要がないでしょうし、歴史上まともな外洋海軍を一度も持ったことのない韓国に運用できるとは到底考えられません。
つまり、必要でないものを持ちたいわけですから、その動機は政治的なものだけです。
とにかく煽る韓国メディアの報道がよくありません。2020年12月18日、『ソウル経済』に「原潜の開発能力はあるので、あとは政府の意思だけだ」という面白い記事が出ています。
記事の冒頭を以下に引用します。
韓国は三方を海に囲まれており、海軍力が島国に劣らず重要である。
海軍力の象徴といえば断然「空母」と「核推進潜水艦」を挙げる。
「強い海軍」を追求する私たちの海軍も空母と核推進潜水艦の保有を期待した。
最近、政府は軽空母を導入することに決めた。海軍の二つの宿願事業の一つである空母が軽空母の導入で解決された中、原子力潜水艦の導入も一日も早く実現しなければならないという指摘が提起されている。
(後略)⇒参照・引用元:『ソウル経済』「[김정욱의 밀톡] ‘디젤 잠수함’ 18척만 보유한 해군…海戰 끝판왕 ‘핵 잠수함’ 꿈 이룰까」
このように出だしからヘンです。韓国に必要なのは沿岸で活躍できる規模の海軍であり、外洋海軍の建設ではありません。ですから空母も原子力潜水艦も要りません。
軽空母の導入がもう決まったみたいな書きようですが、先にご紹介したとおり、2021年度の軽空母予算は99%削減され1億ウォン(約960万円)しか認められませんでした。国防部の説明では世論の了解が取れたら本格的な予算がつくとのことで、つまり「宿願の一つが解決された」わけではありません。
また「原子力潜水艦の導入も一日も早く実現しなければならない」状況なのでしょうか。
同記事には以下のように結ばれています。
(前略)
専門家は、韓国が原子力潜水艦保有国になるために、今残されてるのは「政府の意志」と口をそろえる。
(中略)
海軍初の潜水艦であるチャン・ボゴ艦艦長を務めたアン・ビョング予備役准将は、「私たちには、ウランを低濃縮できる技術などをはじめ、原子力潜水艦建造能力がある」とし、「原子力潜水艦の導入は、現政府の公約でもあるだけに、政府が意志に基づいて、原子力潜水艦建造計画を立てて、それを実行しなければならない」と促した。
(後略)
韓国には原子力潜水艦を建造する技術はあるので、あとは政治決断だけだといっています。こういう煽りがよくありません。本当は技術もお金もないのです。軽空母を造ると奇声オダを上げてから「実は耐熱甲板を造る技術がない」と分かったのと同じです。
(吉田ハンチング@dcp)