『韓国銀行』の李柱烈(イ・ジュヨル)総裁が2022年03月末日に退任となります。
李総裁は生粋の『韓国銀行』マンでした。
1977年に『韓国銀行』に入行。調査局長、政策企画局長、通貨政策担当副総裁報、副総裁とキャリアを積んで2012年に退任。
『延世大学』の教授職に就きますが、2014年、朴槿恵(パク・クネ)政権時に『韓国銀行』総裁に指名され、文政権となってからも『韓国銀行』総裁を務めました。
通算43年も『韓国銀行』で仕事をされたことになります。
「1997年アジア通貨危機」「2008~2009年韓国通貨危機」も韓銀マンとして経験したわけです。総裁としては今回のコロナ禍によるドボン寸前の危機も乗り越えました。まさに激闘の43年間だったでしょう。
記者懇談会での李総裁の感慨
2022年03月23日、李総裁の記者懇談会が開かれました。韓国メディアから李総裁の注目の発言を引用します。
「最近の高い物価上昇が相当期間続くと見込まれ、金融不均衡リスクを減らしていく必要性が依然大きい」
「通貨政策の緩和の程度を減らし続けることが必要だと見る」
「金利引き上げは経済主体の金融費用負担が増えるため、人気のない政策です。しかし、ちょっとタイミングを逃せば、後になって国家経済がより大きな費用を払わなければならなくなる」
「特にアメリカ合衆国連邦準備制度(連銀、Fed)が早い速度の金利引き上げを予告したが、私たちが去る08月以降先制的に対応することでしばらく金利政策運用の余裕を持つようになった点は幸いだが、今後の状況は甘くないだろう」
金融引き締めを続けなければならない状況であるという認識ですので、(李総裁の最後の金融委員会では見送りましたが)金利は上げざるを得ない――というわけです。
たとえ人気がない政策であっても。
また、今後の状況が甘くないというのは確かにそのとおりでしょう。
また去りゆく者として次のように述べています。
「在任期間中、心に刻み誓ったのは『中央銀行の存立基盤は国民からの信頼だ』ということ」
「去る席でいい話だけをするわけにはいかず、韓国経済が乗り越えなければならない困難が大きすぎるのが事実。しかし後任総裁と韓国銀行の役職員がこうした困難な経済状況に正しく対応していくと信じています」
李柱烈(イ・ジュヨル)総裁の退任に当たっては心から「お疲れ様でした」と申し上げたいと思います。
(柏ケミカル@dcp)