中国の国家外汇管理局(外国為替管理局:略称SAFE)が2020年09月時点の対外債務のデータを公表しました。
中国の対外債務::2兆1,324億ドル
(約220兆7,034億円)
2020年09月末時点
中国の対外債務:2兆2,944億ドル
(約237兆4,704億円)
06月末からわずか3カ月で「1,620億ドル」(約16兆7,670億円)も増えました。これで7四半期連続の増加です。
この対外負債の増加について同局の報道官は以下のように述べています。
(前略)
対外債務の伸びは主に債務証券の伸びが牽引した。 対外債務は今後も安定的に推移すると予想される。
(中略)
外国為替管理局は、外国為替部門の改革開放を推進しながら、国境を越えた資本移動のリスクを効果的に防止し、同国の経済・金融の安全を維持する。
(後略)
「安定的に推移する」というのがナニを言っているのかよく分かりません。この対外債務の増加がそれでも安定しているというのでしょうか。
1年以内に返済する対外債務が「56%」を占め、その84%が「ドル建て」
この対外債務の中身は以下のようになります。
長期対外債務:9,988億ドル(44%)
短期対外債務は「1年以内に返済期限がくる借金」です。短期対外債務が「約1.3兆ドル」(約134兆946億円)もあります。
人民元建て・外貨建ての別で見ると以下のようになります。
外貨建て対外債務:1兆3,974億ドル(61%)
外貨建て対外債務・通貨別の割合
ドル建て:84%
ユーロ建て:8%
香港ドル建て:4%
円建て:2%
SDRなど:2%
中国の外貨準備は不足している!
ここでいわゆる「真水」の議論になります。これだけの債務があって、中国の外貨準備は十分なのか?という話です。Money1では発表があるたびにご紹介していますが、中国の外貨準備は直近で「3兆1,785億ドル」あります(2020年11月末時点)。
これだけあれば十分に思えますが、実はそうではありません。
中国は、財・サービス・技術の輸入を1年に2兆ドル行なっています。1年内に返済しなければならない借金は上掲のとおり「1兆2,956億ドル」あります。
つまり、1年で出て行くお金は合わせて「3兆2,956億ドル」です。でも外貨資産は「3兆1,785億ドル」しかないのです。この時点でもう足りませんね。
ですから中国の外貨準備は「3兆ドルを切ると危ない」「3兆ドルを切ると外貨不足に陥る」といわれるのです。
アナリストは以下のように指摘します。
と。この指摘が正鵠を射ているのなら危ないですね。
(吉田ハンチング@dcp)