ここまで上昇を続けてきた韓国の「対外純資産」が2020年にポキッと折れました。『韓国銀行』が2021年02月19日に公開した「国際投資ポジション」についての話の続きです。
「対外資産」と「対外負債」
面倒な話が嫌いな方にはご退屈かもしれませんが、できるだけ簡単にやっつけますのでどうかお付き合いのほどをお願い申し上げます。
「国際投資ポジション」は、対外資産(External Assets)と対外負債(External Liabilities)に分かれています。
そのままですが、韓国が外国に持っている資産(External Assets)と、外国が韓国内に持つ資産(External Liabilities)です。
対外負債には、直接投資や証券投資(株式・債券)、融資が計上されるその他投資、デリバティブなどで構成されますが、この全てが返済しなければならないものではありません(当たり前ですが対外資産にも同様にこれらがあります)。
例えば、直接投資で外国企業が韓国内に工場を造ったとしても、その投入された資金は借金ではありません。また、韓国の株式市場に資金を投じて韓国企業の株式を購入したとしてもこれまた借金ではありません。
「負債」と日本語にすると、なんだか借金ぽくなりますが、External Liabilitiesはあくまでも「外国が持つ韓国内の資産」という意味です。
ただし、このうち必ず返済しなければならないものがあって、これが先にご紹介した「対外債務(External Debt)」です。これには債券(Debt Securities)、融資などが含まれます。
「対外資産」から「対外負債」を引いて「対外純資産」
いくら負債がたくさんあったとしても、資産がそれを上回っていれば、その国は(一応は)健全と見なされるわけです。例えば、1億円の借金があるオジサンですが、時価2億円の株式を持っているなら、その人を貧乏とは言いませんね(ざっくりの話ですよ)。
ですから、韓国の負債(その中の対外債務)についてご紹介しましたが、対外資産(External Assets)も取り上げないと公平ではありません。
対外資産(External Assets)の方が多いかどうかは、
で分かりますね。この式で求めるものを「対外純資産」と呼びます。つまり、資産から負債を引いて、正味(Net)の資産額を計算するわけです。
韓国は以下のようになっています。
対外資産(External Assets):1兆9,361億ドル(約204兆262億円)
対外負債(External Debt):1兆4,946億ドル(約157兆5,009億円)
対外純資産(資産 – 負債):4,414億ドル(約46兆5,147億円)
ですので、韓国は対外純資産が4,414億ドルあり、一応経済的には安全ということになります。ただし、面白いことにこの純資産の額が2020年に減少したのです。
以下をご覧ください。
上掲は『韓国銀行』が公表した資料にある「対外純資産」金額の推移です。ここまで上昇してきた「対外純資産」のラインがポキッと折れているのがお分かりいただけるでしょう。
2019年と比較して、韓国の「対外純資産」は595億ドル(約6兆2,701億円)減りました。これは対外資産よりも対外負債の伸びの方が大きかったためです。
2020年のコロナ禍は韓国の対外純資産を減少させる大きな効果があったのです。
(吉田ハンチング@dcp)