「風が吹けば桶屋がもうかる」みたいな、あるいは「ピタゴラススイッチ的」といいますか、韓国『サムスン電子』総帥である李在鎔(イ・ジェヨン)副会長に責任を押しつけようという無茶苦茶な話が韓国で出ています。
ことの起こりは、現在韓国で話題になっている「韓米ワクチンスワップ」※なるものです。
先の記事でもご紹介したとおり、これは「アメリカ合衆国よ、ワクチンを借せ、後で韓国で生産して返すから」――という虫のいい話で、しかも後で返す分のワクチンの生産技術は提供しろという驚愕の内容なのです。
こんな話に合衆国が乗るわけがなく、ジョン・ケリー大統領特使にも一蹴されたわけですが、しかし韓国政府はこの無茶な話をなんとかまとめようと必死です。
しかも必死なのは、韓国の外交部長官(要するに外務相)の鄭義溶(チョン・ウィヨン)さんです。
恐らく、ケリー特使と真剣に議論したなどと発言したので引っ込みがつかないのでしょうが、呆れることに、現在収監されている『サムスン電子』の李副会長を釈放して、合衆国との「韓米ワクチンスワップ」の交渉に当たらせろ!などと言い出したとのこと。
韓国メディア『亜州経済(韓国版)』の記事から一部を引用します。
「韓米ワクチンスワップ締結の交渉カードを探せ」
米中の半導体覇権戦争に触発された、いわゆる「李在鎔役割論」が再び力を増している。
来月下旬に開かれる韓米首脳会談で、米国が中国牽制を要求する可能性が大きくなり、「半導体韓米同盟」は、ワクチン不足の危機に瀕している韓国政府の唯一の突破口に挙げられる。
李在鎔『サムスン電子』副会長を特別赦免し、その後ワクチン特使に任命してワクチンスワップ締結の呼び水にしなければならないという論理だ。
(後略)
なにが「論理だ」です。
半導体について中国と対立している合衆国なので、『サムスン電子』の副会長の言うことなら聞くだろうと読んでいるわけです。
先にご紹介したとおり、李副会長は偉大な父親を亡くし、最高裁で実刑判決を受けて収監。先日は虫垂炎で拘置所から病院に緊急搬送されました。恐らく相当なストレスに苛まれているでしょう。
その李副会長を、愚かさ際まる「韓米ワクチンスワップ」を推進するためのコマにしようというのです。韓国では大統領のみならず、企業のトップもろくな目に遭いません。李副会長は本当にお気の毒です。
(吉田ハンチング@dcp)