「韓国のAmazon(アマゾン)」と呼ばれるネット通販大手『Coupang』(クーパン)ですが、2021年第1四半期の決算が発表されましたが、これまでを超える大赤字でアメリカ合衆国市場に上場した株価も墜落しました。
よく見えるかもしれない決算書
上掲が決算ですが、赤字を糊塗するかのように1人当たりの売上が増加したうんぬんと書いてありますが、問題なのは企業活動を行って利益が出ているかどうかです。
途中に「Gross profit:7億3,250万ドル」という数字が出ていてもうかっているように見えたりしますが、これは収益(revenues)から売上原価(cost of sales)を引いた売上総利益のことで、ここから販売費と一般管理費を引いて営業利益(Operating Profit)にします。が、この報告書には「営業利益」の記載がありません。
売上総利益の数字を見ても大して参考にならないので下では省きました。また、「Adjusted EBITDA」(調整後EBITDA※)というのは、「税引き前利益」に「特別損益」「支払利息」「減価償却費」を足したもので、経営者あるいは経理を本職とされている方以外は、あまりお目にかからない数字でしょう。
総売上:42億686万ドル(約4,608億円)
当期損失:2億9,503万ドル(約322億円)
要するに「当期利益:-322億円」という赤字です。
ちなみに前年同期は「当期利益:-1億535万ドル」(約-115億円)でしたから、赤字額は約3倍に拡大しています。
※「EBITDA」は「Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortization」の略
『クーパン』の株価は急落!
という結果でしたので、韓国のAmazonの異名を持つ『クーパン』の株価は急落しました。以下をご覧ください。
「05月12日終値:35.33ドル」から「05月13日終値:32.04ドル」へ「9.3%」も下落しました。「5%」を超えていますので、これまた暴落と呼んでもいいレベルの下落です。
孫さんはきっと苦笑している
韓国メディア『朝鮮日報(日本語版)』に「韓国クーパンの恩恵を得た孫正義…ソフトバンク、日本企業で過去最高益」なんて記事が出ていますが、孫さんはきっと苦笑しているに違いありません。
というのは、これまで『ソフトバンクビジョンファンド』は累計「30億ドル」(約3,275億円)を投入しています。また、上場を果たし『ソフトバンクグループ』の純利益増加に寄与したとしてもそれは「時価総額」の評価計上であって、実際にその分のお金を手にできたわけではないのです。
しかも、何度もいいますが『ソフトバンクグループ』が投入した30億ドルなど、ここまでの累計損失を考えればとうに使い切ってありません。
孫さんからすれば、早く業績をプラスにして株式を高く売却できる状態になってもらわないともうけが出なくて困るでしょう。ですから、やはり孫さんは『朝鮮日報(日本語版)』の記事を見て苦笑していることでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)