アメリカ合衆国でトランプ前大統領が再始動しております。2022年の中間選挙で共和党を多数派とすべく、いろいろな発言を行っているのですが、その中に韓国がらみのものもあります。
2021年06月05日、ノースカロライナ州・グリーンビルで行われた共和党の集会で、中国やロシアが合衆国を利用していると話す中、韓国の防衛費負担についても持論を語りました。
いわく、私が大統領なら、
とのこと。将来のことはともかく、現在トランプさんは大統領でもありませんし、私人ですがなぜかこの件についてはご執心です。
本件はバイデン政権になってから、2021年03月に13.9%引き上げた1兆1,833億ウォン(約1,172億円)で妥結したと、と報道されています。
韓国にとっては災難な話ですが、トランプさんは今でも共和党支持者の間で非常に人気がありますので、万が一2024年に大統領に返り咲いたりしたら、韓国はまた「50億ドル支払え」といわれるかもしれません。
在韓米軍駐留費を巡る戦いの舞台裏
トランプさんが大統領時に文在寅大統領と会って、いかに50億ドル払えとしたのかは、安全保障担当補佐官だったボルトンさんが回顧録である『The Room Where It Happened』(日本語版タイトル『ジョン・ボルトン回顧録 トランプ大統領との453日』)に、生々しい舞台裏を書いてくれています。
同書から以下に引用するとこんな具合です。
私たちは昼食会のために閣議室に移動した。そして、朝鮮情勢への見解を確認し、2国間貿易の問題について少し話をした後で、トランプが米軍の韓国駐留経費の話題に言及した。
彼は、米軍駐留には年間50億ドルの費用がかかると説明した上で、韓国が特権待遇を受けて米国にテレビを売っており、米側は年間40億ドルを失っていると言った。さらに、他国はずっと多額の支払いを申し出ており、韓国は次の交渉でもっと前向きになる必要があると伝えた。
トランプはまた、自分は文在寅を守りたい気持ちが強く、文に大きな敬意を抱いていると伝えた。
(中略)
韓国は自力で国を守る必要がないおかげで国家建設に邁進できる。
それに比べ、米国は韓国を守るという栄誉に預かるため5兆ドルを費やしてきた。韓国が誰よりもタフな交渉相手だからだ。トランプは負担額の算定方式を米側にとって正当なものにしたいと主張した。
⇒参照・引用元:『ジョン・ボルトン回顧録 トランプ大統領との453日』pp.373-374
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による
トランプ大統領が文大統領に「敬意を抱いている」などの発言までして交渉している様子が伝わってきます。
この後も、トランプ大統領が突然この経費の話を切り出す場面などがあるのですが、それはぜひ同書をお読みください。とても面白い本ですので。
トランプさんがホワイトハウスに戻ったら、韓国の次期大統領はこのような交渉に直面するものと思われます。
(吉田ハンチング@dcp)