2022年08月24日、韓国経済が風雲急を告げている!ということで、韓国政府は「第2回マクロ金融状況点検会議」を開催しました。
韓国メディア『NEWSIS』の報道によれば、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は以下のように発言したとのこと。
(前略)「金融・外国為替など何らかの危機状況が再び発生しないように、また民生困難がさらに加重されないように徹底的に点検し対応する」
尹大統領は「前回の第1回会議(05月13日開催:筆者注)で見込んだよりも国内外のマクロ状況の困難性が増している」とし、「ドル高が強まった影響で為替レートが大幅に弱まり、原材料価格の上昇に伴って貿易収支の赤字幅は拡大している」と診断した。
続いて「ロシアの欧州へのガス供給が縮小したことで、グローバル要因によるインフレ問題が依然として安心できない状況」とし「これに対応した主要国の金利引き上げ、不確実性の増加で変動性が大きくなり、グローバル景気鈍化の可能性が高まっている」と話した。
また「過去の危機状況に比べると韓国経済の対外財務健全性は多く改善されたが、決して油断できない」とし「金融・外国為替市場の安定、輸出拡大、貿易収支の改善、物価、民生安定など、当面懸案とリスク対応策に細かく取り組んで、国民が安心できるように一瞬も緊張を解かない」と付け加えた。
(後略)
「金融・外国為替市場の安定、輸出拡大、貿易収支の改善、物価、民生安定」と懸念の項目をずらずら挙げていらっしゃいますが、あっちでもこっちでも火がつきそうなわけです。
しかし、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領の状況認識は正しいです。
この「マクロ金融状況点検会議」の第1回は、去る05月13日に開催されましたが、その時と現在のドルウォンレートを比較してみましょう。
以下のチャートをご覧ください(チャートは『Investing.com』より引用:日足/以下同)。
05月13日の終値が「1ドル=1,280.38ウォン」で08月24日の始値が「1ドル=1,339.45ウォン」ですから、この間に「4.6%」ウォン安が進みました。
※本当は終値で比較すべきですが記事製作時に締まっていないので24日の始値で代用しました。誠に申し訳ありません。
次に株式。KOSPIのチャートを見てみましょう。
05月13日の終値が「2,604.24」で08月24日の終値が「2,447.45」ですから、この間に「6.0%」株安が進行しました。
最後に債券。最も枚数の多い韓国債3年物の利回りチャートを見てみます。
05月13日の終値が「2.907%」で08月24日の終値が「3.309%」ですから、この間に「13.8%」利率が上がりました。利率が上がるということは債券価格が下がっていることを意味します。
つまり、第1回から第2回の会議の間に、通貨安・株安・債券安のトリプル安が進行したわけです。
次に貿易収支(通関ベース)の縮小です。2021年と2022年の比較すると以下のようになります。
通関ベースの貿易収支は4カ月連続の赤字で、十中八九「08月も赤字」で締まります。
ただし、あくまでも通関ベースの話であって、先にご紹介したとおり、企画財政部自身が「大丈夫だってば」というプレスリリースを出しています。
それはそのとおりなのですが、ご注目いただきたいのは上掲グラフのとおり、2021年と比較して明らかに実績が下をくぐっていることです。
貿易のもうけを示す貿易収支が減少していることは確かなのです。
国際収支統計で貿易収支が黒字だといっても、昨年と比較してはるかに金額は小さくなっています。国際収支統計における貿易収支を比較すると以下のようになります。
2021年通年:762億720万ドル
2022年01~06月:200億1,430万ドル
※国際収支統計は2022年06月までしか締まっていません
2022年は上半期が終わった時点で、貿易のもうけを示す貿易収支は「約200.1億ドル」しかありません。あと6カ月ありますが、倍にしても400億ドルにしか届かないのです。
2021年の通年が「約762.1億ドル」ですから、このままいくと貿易収支は「47.5%減少」という恐ろしい結果になります。
どこが大丈夫なのでしょうか。
尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領の言う「困難性が増している」は、「全くそのとおり」という他ありません。
(吉田ハンチング@dcp)