Money1でも何度かご紹介しているとおり、韓国の電力インフラはそもそもが脆弱です。
前文在寅政権は「脱原発・クリーンエネルギー政策」に舵を切って、太陽光・風力発電施設の乱造に邁進。ところが、太陽光発電施設の3割が送電網に接続されていないことが発覚したりしました(本当です!)。
そもそもクリーンエネルギー政策以前から必要な送電線網、変電所などの設備が不足しており、挙げ句の果てに必要施設の建設が前へ進まないのです。
理由は、周辺住民の反対に遭って土地収用などの基本的な作業がさっぱり進まないため、とされています。
そのような駄目駄目な背景の下、2023年03月15日、産業通商資源部の「中小ベンチャー企業委員会」が20日に提出する法案についての議論を行いました。
韓国の電力行政は収拾がつかない!
「分散エネルギー活性化法案」というのですが、これは「一定の需要がある地域の近くに電力を生産できる施設を造ろう」というものです。
主旨としては「電力の地産地消」みたいな話です。
近場で作って近場で消費ですから、送電網を長く引く必要がなく、ロスも少なくなるので炭素削減にも寄与するだろう――というのです。
全くそのとおりかもしれませんが、そもそもが野放図な再生可能エネルギー施設を造った後始末をどうするんだ?という状況があるのに、こんな計画をさらに進めて大丈夫なのか――です。
傑作なのは、『国民の力』のハン・ムギョン国会議員が、他ならぬ『韓国電力』から受け取った資料「再生エネルギー送変電設備計画策定」によれば、
となっています。
1.2kmごとに1本の送電用鉄塔が必要だとすると、単純計算で2034年までに「5,315本」の鉄塔を建てないといけません。
これに加えて、産業通商資源部は「電力の地産地消」みたいな法案を準備しているのです。無茶苦茶です。
韓国の電力行政は取っ散らかかって収拾がつかなくなっている――といえるのではないでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)