韓国では文在寅大統領の任期がいよいよ終わりに近付いてきました。だからこその風景なのかもしれません。
韓国の原子力発電所「月城1号機」の廃炉に関する一連の問題で、同発電所の経済性評価を捏造した疑惑が持たれている3人が大田地検に起訴されました。
起訴されたのは、ペク・ウンギュ元韓国産業通商資源部長官、チェ・ヒボン元大統領府産業政策秘書官(現韓国ガス公社社長)、チョン・ジェフン韓水原社長の3人です。
「職権乱用権利行使妨害」などの罪での起訴となります。
文大統領の鶴の一声で閉鎖が決まった
何がどうなっているのかについて簡単にご紹介します。
文在寅大統領は「脱原発」を掲げており、2017年に月城原発「1号機」の閉鎖を早めると発表しました。
翌2018年には、「月城1号機」を運営する『韓国水力原子力発電』が閉鎖を決定。
2019年に行われた原子力安全委員会会議で過半数の賛成を得たことで、「月城1号機」は早期閉鎖されることになりました。
しかし、閉鎖決定の後に、「早期閉鎖の決定が妥当なものであったのか」という問題が浮上。つまり、「そもそも閉鎖する結論ありきで議論が進んでいたのではないか」と疑われたのです。
そこで韓国監査院が捜査したところ、なんと産業通商資源部が閉鎖にまつわる資料を隠蔽、削除、廃棄を行って捜査を妨害しました。
これには野党も、「大統領府が閉鎖の問題点を知っていながら見過ごした」「大統領府が閉鎖をそそのかした」と国会で追及。原発閉鎖を推し進めるために官僚たちが文大統領のに忖度(そんたく)したのではと非難しました。
調査の結果……
度重なる妨害に負けずに監査は続けられ、2020年10月に13カ月におよぶ監査の結果が報告されました。
結果は――「産業資源部が監査前日に資料444件のファイルを破棄していた」ことや、ペク元資源部長官が担当公務員に「即時稼働中断」に報告書を書き直すよう指示したことが監査で発覚。
調べれば調べるほど、文大統領への忖度があったことが明るみに出てしまったのです。
今回の起訴内容によると、ペク元産業通商資源部長官は報告書の書き直しを指示するなど、経済性評価プロセスに不当に関与。
チェ元秘書官も同じく、経済性評価を策定するプロセスで不当な行いをした罪に問われています。
チョン韓水原社長に関しては、経済性評価に関する数字が低くなるように操作したとして、背任罪と業務妨害の罪で起訴されました。
文大統領への忖度問題が注目されている「月城1号機の閉鎖問題」。
ついに起訴という重大な局面を迎えましたが、果たして起訴された3人に対しどのような判決が言い渡されるのかだけではなく、文大統領自身に調査が及ぶのかに注目いたしましょう。
⇒参照元:『聯合ニュース』「月城原発ベクウンギュ・チェフイボン職権乱用… チョン・ジェフン背任なども適用」
⇒参照元:『朝鮮日報(日本語版)』「『文大統領の『いつ止めるのか』という質問直後、産業通商資源部長官が稼働中断指示」
⇒参照元:『朝鮮日報(日本語版)』「『月城原発はもっと稼働できます』との実務者の言葉に元長官『お前、死にたいのか』」
(松田ステンレス@dcp)