韓国の電力会社が赤字になるという椿事が起こっています。何をやっているんだ――という話なのですが。
発電コストにある一定の利益を乗せて電気代を設定しますので、普通電力会社が赤字になることはありません。コスト計算の中の燃料費、例えば原油、石炭、LNGなどが想定外に急騰したといった事態でもあれば別ですが、しかし韓国の電力会社が赤字になったのはそのせいではありません。
「脱原発」を推進し、太陽光・風力発電施設を急増させ、電力会社が施設から電力を買わなければならなくなったためです。
韓国電力会社の「今そこにある危機」
韓国メディア『毎日経済』の報道によれば『韓国南東発電』は、2021年07月02日、緊急経営会議を開催。同社は『韓国電力公社』の子会社の一つですが、2020年の決算は「1,391億ウォン」(約136.3億円)の赤字。
『韓国電力公社』の5つの子会社※で計「3,610億ウォン」(約353.8億円)の純損失を出しています。
韓国南部発電: -176億ウォン
韓国中部発電: -299億ウォン
韓国東西発電: -654億ウォン
韓国西部発電: -1,090億ウォン
韓国南東発電:-1,391億ウォン
子会社は親会社である『韓国電力公社』に電気を買ってもらうことで売上を立てる構造になっているのですが、売電単価よりも電力原価の方が高かったため、このようなことになりました。
売電単価:81.2ウォン/kwh
電力原価:87.4ウォン/kwh
収支:-6.2ウォン/kwh
発電するごとに赤字が増える構造になっています。
この発電コストが上がった原因が、脱原発&クリーンネルギー政策です。燃料の安い石炭火力発電所を停止し、太陽光発電施設から電力を買うことを進めたため高コスト構造に陥ったのです。
根本的に文在寅政権のせいです
クリーンエネルギー政策を推進した文在寅政権(2017年発足)のせいであることは以下のデータからも明白です。
2017年:+6,623億ウォン
2018年: -182億ウォン
2019年: -181億ウォン
2020年:-3,610億ウォン
ご覧のとおり2017年には「6,623億ウォン」(約649.1億円)の黒字だったものが、翌年に赤字に転じ2020年には赤字幅が急拡大したのです。
ちなみに『毎日経済』の記事では、2021年度には当期純損失は「1兆3,000億ウォン」規模にまで膨らむと紹介しています。
太陽光・風力発電の取引価格、また取引制度を抜本的に改革しなければ発電会社は破綻することになります。
※韓国では『韓国電力公社』の下に6つの発電会社があります。上記5社の他の1社は『水力原子力発電』です。
⇒参照・引用元:『毎日経済』「脱原発に赤字沼陥った…発電会社『非常経営』宣言」
(吉田ハンチング@dcp)