韓国で「脱原発」から方針転換か?という動きがありました。
※一応完成していますが注文をつけられているので正確なステータスは建設中です(本文参照)PHOTO(C)GoogleMap
2021年07月09日、2020年04月に完成したにもかかわらず、現在に至るも運転許可が出されていなかったハヌル原子力発電所の「新1号機」に条件付きながら運転許可が出ました。
文在寅政権の「脱原発」のため許可が出ず!
この新1号機はこれまでリポートを13回も提出したのに運転許可を出してもらえませんでした。
これは、文在寅大統領が「脱原発」を推進してきたためであると推測されています。「飛行機が衝突した際の耐久性が足りない」「テロリストが攻撃した際の対応が足りない」などの突っ込みで申請が却下され続けたため、野党などから「確かに安全性は大事だがいい加減にしろ」という非難が出たほどです。
しかも、完成した原発を稼働させなかったため、全く電力を生産せず、お金が出ていくばかりという状況になっていました。
稼働が遅れると1日当たり11億ウォン出て行く
なぜ放置しておくとお金が出て行くのかというと、建設に資金を提供した投資家への利子払いが発生するからです(他に検査用の人員を待機させておくコストなどがかかります)。
電力を生産すれば電気代でお金が入ってくるのでそれでリクープすればいいのですが、ただ置いておくだけですと利子払いがかさむばかりです。
この遅延コストが1日に約11億ウォンと計算されています(このうち利払いは半分の5億5,000万ウォンとのこと)。
稼働許可は出ましたが条件付きなので、それをクリアしたとしても遅延期間は最短でも約16カ月になると見込まれています。
1日約11億ウォンで計算すると、なんと5,400億ウォン(約514億円)も追加でお金が出ていくのです(完成したのに!)。
新1号機の全事業費は「約9兆4,400億ウォン」(約9,062億円)まで膨らむことが予想されており、しかも稼働が遅延すればするほど雪だるま式に拡大します。
なぜ突然許可が出たのか?
しかし、脱原発を推していた文在寅政権がなぜ突然運営許可を出したのでしょうか?
これは、韓国が今夏深刻な電力不足に陥る可能性があることが関係していると思われます。文政権が原発の稼働に許可を出さないから停電が起こったのだ、といった批判からガラをかわすためではないでしょうか? しかし、実際に新1号機が稼働できるのはいくら早くても8カ月後と見られています。
つまり、間に合いません。
あくまでも予測ですが、今夏、韓国の予備電力は4GWまでひっ迫するものといわれています(韓国メディア『毎日経済』の報道による)。これは2013年以降で最も余裕がない数字です。
韓国での電力不足がどの程度になるか、また停電などが起こらないかにご注目ください。電力不足はもちろん経済的に大きな影響を与えます。
(吉田ハンチング@dcp)