これは韓国の歴史に残るであろう巨額詐欺案件に対する第1の結果です。
2020年にMoney1でもご紹介した韓国の『オプティマス資産運用』(Optimus Asset Management)の詐欺事件についての裁判第一審の判決が下されました。
ソウル中央地裁は、特定経済犯罪加重処罰法上の詐欺・資本市場法違反などの疑いで起訴された『オプティマス資産運用』のキム・ジェヒョン代表に懲役25年、罰金5億ウォンを宣告。751億7,500万ウォンの追徴金を科するとしました(他関係者の量刑も重い判決)。
「オプティマス詐欺」とは?
『オプティマス資産運用』の詐欺事件は、韓国メディアでは「1兆ウォン規模」「天文学的数字」といった報道がされています。
この詐欺事件は「ファンドに資金を集めてドロン」系のものでした。
「公共機関の債権」を証券化したものに投資をするので安心という触れ込みでお金を集めたのに、ジャンク債などリスクの高い金融商品に投資を行い、結局「償還できなくなりました」を連発。
被害金額の大きさに当局が捜査に乗り出し、『オプティマス資産運用』の経営陣を逮捕、起訴に至りました。その第一審の結果が出たわけです。
2020年11月に金融監督院が公表した資料によると、5,146億ウォン(約488.9億円)の資金を集めたうち「88~92.2%」は回収不能とされました。
つまり投資家は丸損です。
背後に深い闇が広がっているかもしれない
韓国メディアが「1兆ウォン規模」と書いているのは、この集めたお金以外にもお金の流れがあったのではないかと想定され、量刑がこの規模だからです。しかも韓国政界に『オプティマス資産運用』にお金が流れ、政界有力者の口利きによって巨額の資金を得たのではないかと推測されているのです。
具体的にどのような口利きがあったのかは未解明ですが、公共機関が『オプティマス資産運用』に資金を投じています。
例えば、公共機関『韓国放送通信電波振興院』はこの詐欺ファンドに総額748億ウォン(約71億円)を投じたのですが、その商品説明資料は『PowerPoint(パワーポイント)』で制作されたわずか2ページしかありませんでした。
このようなことは、よほどの有力者のコネでもなければ起こり得ないことと目されています。この事件は全てが解明されると「政界を巻き込んだ一大疑獄事件に発展する巨大な闇」と考えられているのです。
Money1でも2020年12月04日にご紹介しましたが、現在次期大統領候補として名乗りを上げている李洛淵(イ・ナギョン)さんの「代表室副室長」を務めた方が、12月02日に自死されています。この方は、「オプティマス経営陣の要請を受けて政界に口利きをした人物」と見られていました。
『オプティマス資産運用』の詐欺事件を追究すると政府与党にとって不都合な真実が明らかになるかもしれないのです。
(吉田ハンチング@dcp)