ドルウォンレートが通貨危機時の水準に達しており、手を打たなけれなりませんが、これはアメリカ合衆国が通貨量を絞りにかかっているのが主因で、韓国独力ではいかんともしがたい問題です。
2022年07月19日、韓国メディア『毎日経済』に非常に興味深い記事が出ました。韓国政府の企画財政部が国民年金基金に協力を求めた、というのです。
協力の内容は「海外投資の際に為替ヘッジを使ってくれ」とのこと。
先にご紹介したとおり、国民年金基金はクジラです。巨額を投資で動かします。当然ですが、外国に投資する際には、ウォンを外貨に換えて投資します。アメリカ合衆国に資金を投資することが多いので、巨額のウォンからドルへの両替(ウォン売りドル買い)が発生します。
これがウォン安を進行させますが、企画財政部はその両替の発生を極力抑えたいのです。
為替ヘッジをすると、為替レートの変動による利益の減少を抑えることができます。ただし、ヘッジコストがかかるので、その分の利益が減ります。
ヘッジありにするか、なしにするかは投資家の読み次第なのです。
例えば、ウォン安が進行すると読むのであれば、為替ヘッジなしの方がいいのです。なぜなら、ドルで運用してウォン安に進行すれば、利益確定してウォン建てにした場合、さらに利益の金額が大きくなるからです。
国民年金基金は、これまで為替ヘッジなしで運用を行ってきました。ウォン安になる分、つまりは為替差益分も利益として積み上げたかったからです。
しかし、企画財政部はウォン安を大きく進行させるクジラに「やめてくれ」と今回の協力要請を行いました。現段階では「勧告」であって、強制力はありません。
それにしても、みみっちい話であると当時に、どれだけ通貨当局が困っているんだ――の証左でもあります。通貨防衛でドルを溶かして本当に困っているのではないでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)