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【半導体戦争】韓国「素部装」企業の中国売上が激減。対中国売上が「ゼロ」も

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2019年07月、日本は半導体に必須の素材「フォトレジスト」「フッ化水素」「フッ化ポリミイド」は個別許可を申請するようにと、韓国に対する扱いを変えました。

これに韓国は猛反発。NoJapan運動が起こり、文在寅大統領は「二度と日本には負けぬ」と述べ、素材・部品・装備の国産化を進めるとしました。

2023年、岸田政権はこれを旧に復し、両国メディアは「日韓の雪解けだー」と融和ムードを醸成しています。

お気楽で大変結構なことですが、問題は、素材・部品・装備メーカーがどうなったのかです。

国産化の進行度合いは別記事でご紹介しますが、現在韓国の素材・部品・装備メーカーは売上の激減という危機に瀕しています。こちらの方が焦眉の急です。

『サムスン電子』『SKハイニックス』という二大企業にスポットライトが当たりがちですが、素材・部品・装備メーカーも半導体産業の重要な部分を担っているので、ここを維持しなければなりません。

金融情報会社『F&Guide』の「Fn半導体小部門指数」に含まる19社の売上は、2022年第1四半期「3兆4,124億ウォン」から2023年第1四半期「2兆7,939億ウォン」まで18.1%減少しています。

それどころではなく、韓国メディア『毎日経済』には以下のような記事が出ています。

(前略)
半導体装置用ベアリングを製造するA社は、今年に入って急減した売り上げに心配が尽きない。

売上減少の最も大きな原因は、不振な中国輸出だ。

この会社のベアリング売上の3分の1は中国から出ているが、今年に入って売上がほぼ「0」になった状況だ。

ベアリングは半導体装置を稼働すれば、少なくとも1年に1回は交換しなければならない消耗品だ。

日常的に必要な部品であるにもかかわらず、中国への輸出量が激減したのだ。

半導体景気の悪化を考慮しても、A社にとってこのようなことはここ数年で初めて経験することだ。

A社の代表は「中国の売上は特に現地メーカーが大半を占めているが、注文がほとんどない」とし、「私たちにはできることがなく、やきもきしている」と話した。
(後略)

⇒参照・引用元:『毎日経済』「“중국만 바라보고 있었는데”…엎친데 덮친 한국 소부장 ‘울상’」

にわかには信じがたい報道ですが、半導体製造装置で使われるベアリングの売上が2023年に入ってほとんどゼロになった――というのです。

同記事では、この(半導体の)素材・部品・装備企業について、以下のような例も挙げています。

2023年第1四半期「中国での売上」
●『大徳電子』:-33.7%
(プリント配線板(PCB)メーカー)
●『WONIK(ウォニック) IPS』:-59.0%
(韓国の半導体装置業界で2位の規模)
●『リノ工業』:-54.7%
(PCB、半導体IC検査装備用の必須部品メーカー)
●『シムテック』:-51.7%
(プリント基板製造会社)
●『EO TECHNICS(イオテクニクス』:-43.8%
(レーザー技術を応用した半導体製造装置の開発メーカー)
●『ハナマテリアルズ』:-32.6%
(半導体製品用シリコン材料メーカー)

⇒参照・引用元:『毎日経済』「“중국만 바라보고 있었는데”…엎친데 덮친 한국 소부장 ‘울상’」

上掲のとおり、そのメーカーも対中国の売上が激減しています。この事実をもってしても、中国の半導体関連作業もまた苦境に陥っており、合衆国による締め付けが効いていることを示しています。また、中国のリオープニングが本当に大丈夫なのかという懸念につながります。

中国自身の低迷が原因になるので、韓国企業としては何もできません。「やきもきする」しかないのです。

同記事の結論はこうです。

(前略)
問題は、世界のサプライチェーンが急速に再編される中で、中小・中堅企業が中国から離れて輸出経路を多様化することは容易ではないという点だ。

中国がこれらの企業の売上に占める割合が大きいため、すぐに製品を販売できなければ、売上への打撃は避けられない。

クォン・ソクジュン『成均館大学』教授は「中国の売上を他の場所で補うしかない状況」とし「半導体生態系を拡大している合衆国や東南アジアなどを中心に別のチャンネルを作るべきだ」とアドバイスした。

⇒参照・引用元:『毎日経済』「“중국만 바라보고 있었는데”…엎친데 덮친 한국 소부장 ‘울상’」

「別のチャンネルを作るしかない」というアドバイスをしていますが、すぐその上に「中小・中堅企業が中国から離れて輸出経路を多様化することは容易ではない」と書いているのですが。「万難を排して努力しましょう」でしょうか。

世界的なIT不況で韓国の半導体産業は窮地に陥っていますが、「世界的」ではなく「中国的」な意味でも窮地なのです。

『成均館大学』は、1398年に設立された李氏朝鮮時代の最高教育機関『成均館』の名称を借用しています。これを母体と見なした場合「東アジアで最古の大学ともいえる」のだそうです。

(吉田ハンチング@dcp)

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