韓国『現代自動車』の水素自動車「NEXO(ネクソ)」がリコールとなりました。
↑『現代自動車』の燃料電池車「NEXO」。PHOTO(C)『現代自動車』
ご存じの方も多いかもしれませんが、同車種は『トヨタ』の「ミライ」をライバル視した『現代自動車』の戦略車で、一時期「ミライを抜いて水素自動車(燃料電池車:FCV)として販売台数世界一」などと喧伝されていました。
リコールの対象となるのは、2021年07月20日までに発売された『ネクソ』の全車で1万5,123台。
問題があったのは「スタックとその関連部品」としています。
燃料電池車の中核装置に問題があった!
スタック(fuel cell stack)というのは、燃料電池車のコアとなる発電装置です。水素と酸素を反応させて電力を生み出すセル(電池の最小単位を「セル」と呼称します)を直列に積み上げたものです。
スタックは「積み重ね」という意味で、「電池セルを積み上げて積層構造になったもの」を指しています。
今回の「ネクソ」のリコールでは、燃料電池車のまさに中核部品になんらかの問題があったことになります。『現代自動車』ではこれまで発売した全車を調査し、問題があった自動車のスタックを全交換、ソフトのアップデートを行うとしています。
実は、2021年02月には同車を購入したユーザー(同好会)から問題が提起されていたのですが、ほぼ半年たってやっとリコールとなりました。『現代自動車』の検証と発表は後手に回ったと非難されても仕方がないでしょう。
リコール費用が恐ろしく高い!
問題は、スタックの交換費用が1台当たり「4,000万ウォン」(約376万円)もかかることです。
自動車のリコール費用としては信じられないくらいに高価で、燃料電池車以外なら恐らく新車が1台購入できる金額です。
4,000万ウォンにざっくり1万5,000台を掛けただけで「6,000億ウォン」(約5,640億円)になります。
2021年第2四半期までの『現代自動車』の業績を見る限り、これまで販売した全ての「ネクソ」に問題が見つかったら、1四半期の営業利益の1/3が吹き飛びます※。
実際に行うリコールの台数にもよりますが、このリコールは『現代自動車』の利益を大きく損なうことになるでしょう。
※『現代自動車』の2021年第2四半期の営業利益は1兆8,660億ウォンだったので、6,000億ウォンはほぼ1/3に相当します。
(吉田ハンチング@dcp)