アメリカ合衆国『GM』が電気自動車「ボルトEV」のリコールを発表したことで、同車にバッテリーを提供していた韓国『LG化学』の株価が暴落したことは先にご紹介しました。
本件に絡んで韓国メディア『マネートゥデイ』に興味深い記事が出ています。
自社株を処分した社長
『SHINSUNG DELTATECH(シンスン・デルタテック)』という企業の구본상(グ・ボンサン)社長が保有する自社株を大量に売却したというのです。
同社は『LGグループ』に二次電池を納品しており、つまりは『GM』リコール話に直結した企業といえます。『GM』のリコール話がニュースになって広がったのは21日(土)でした。
このニュースを受け、23日(月)の韓国株式市場で『LG化学』の株価が暴落したのです。当然ながら関連企業、バッテリー関連企業の株価も下がったわけですが、『シンスン・デルタテック』のグ社長がこの情報が出る前の17日に5万株を売却しているというのです。
つまり、インサイダー情報による取り引きがあったのではないか、と疑念を呈しているわけです。
確かに公示データで売却は確認できる
裏を取ってみましょう。
韓国金融監督院の『DART』システムでデータを確認してみたところ、確かに株式処分の公示が出ています。구본상(グ・ボンサン)さんが2021年08月17日に「2万1,045ウォン」で5万株、08月24日に「1万8,100ウォン」で500株を売却しています(以下)。
⇒データ引用元:『韓国金融監督院DART』公式サイト
次に以下の『シンスン・デルタテック』のチャートをご覧ください(チャートは『Investing.com』より引用:日足)。
『シンスン・デルタテック』の株価は17日から下落トレンドで、特に17日は長い陰線です。グさんは、この日のほぼ最高値で売却できています。24日はローソク足がコマ足となっていますが、同様にこの日のほぼ最高値で売却しています。
売却したのは、グ前社長だけではありません。副社長は08月11日に「2万300ウォン」で5,000株売っており、常務は08月19日に「1万9,531ウォン」で1万4,534株を売却しています。
『マネートゥデイ』の集計によれば、11日以降で『シンスン・デルタテック』主要株主と役員が処分した株式は合計24億ウォンに達するとのこと。
『シンスン・デルタテック』側は売却タイミングは偶然のことで、各個人の都合で売却を決めただけのこと。その証拠に同社の時価総額は2021年08月26日時点で「4,535億ウォン」で、08月に入ってから売却された株式は「33億ウォン」水準と相対的に小さい――と全面否定しているようです。
確かにこれだけではインサイダー取引があったと断言することはできません。
さて読者の皆さまは、どのように判断されますでしょうか。
⇒参照・引用元:『マネー・トゥデイ』「【独占】シンスン・デルタテック前社長など『GMリコール』前に保有株式数十億売った」
(吉田ハンチング@dcp)