韓国の文在寅大統領が『G20』(主要20カ国・地域首脳会議)と『COP26』(第26回気候変動枠組条約締約国会議)に出席するため、欧州に出かけます。
2021年10月28日~11月05日まで7泊9日という長めの日程での訪欧になります。
非常に興味深いのは、この欧州出張でバチカンを訪れ、ローマ教皇と会うことがスケジュールに入っていることです。
日本ではあまり一般に知られていませんが、韓国はキリスト教信者の多い国ではあります。文在寅さん自身もカトリックです。
信仰心が篤いのは良いことかもしれませんが、この方の場合、それだけでバチカンを訪れるとは思えません。
このバチカン訪問・ローマ教皇面談について、青瓦台・大統領府の書面ブリーフィングでは以下のように述べています。
(前略)
10月29日に文大統領は教皇庁を公式訪問して、フランシスコ教皇とファロルリン庁国務院長とそれぞれ面談を行う予定です。文大統領の今回の法王庁の訪問は2018年10月に続き2回目。
普遍的人類愛を実践してきた世界の宗教界の指導者と朝鮮半島の平和増進とコロナ、気候変動、貧困・飢餓など、グローバルな懸案を解決するための知恵を共有するきっかけになることを期待しています。
(後略)
この文大統領の旅程には、統一部の李仁栄(イ・インヨン)長官が同行する予定です。
北朝鮮のために「パシリ」をしている
なぜ統一部の長官が同行するのでしょうか? 韓国メディア『中央日報(日本語版)』は、
(前略)
青瓦台は李長官の同行について「いろいろと意味のある提案と活動をするのではないかと考える」と説明した。
(後略)
⇒参照・引用元:『中央日報(日本語版)』「文大統領、イタリアG20出席へ…「訪朝意思」表した教皇と会談も」
と書いています。
なかなか含みのある書きようですが、この提案というのは「ローマ教皇に北朝鮮を訪問してほしい」と要請すること、訪北を承諾させることが目的と推測できます。
というのは、2018年に韓国の青瓦台・大統領府は「北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長がローマ教皇を平壌に招待する意向である」と発表したことがあるのです。
また青瓦台の報道官は以下のようにも述べました。
「文大統領は10月17日と18日にバチカンを訪問し、朝鮮半島における和平と安定への支持を再確認する」
「大統領は法王と面会する際、金氏が法王を熱烈に歓迎する意向を伝える」
なぜ、このように執拗に文大統領(および韓国の青瓦台・大統領府)がローマ教皇に北朝鮮を訪問させたがっているかというと、南北首脳会談の際に「金正恩総書記がローマ教皇の訪朝を要請した」(とされる)からです。
簡単にいえば、金正恩総書記の「パシリ」をやっているわけです。
しかし、ローマ教皇は北朝鮮を訪問しませんでした。
青瓦台・大統領府によれば「(北朝鮮からの)公式の招請があれば無条件で返事をするし、私は行くことができる」と述べたにもかかわらずです。
ですので、本当にローマ教皇が本当にそんなことを言ったのかは大いに疑問です。
パシリを実現して南北首脳会談を実現したい
一国の大統領が北朝鮮・金正恩総書記のためにパシリをしているのというのも相当なものですが、さらにいえば、このお役目を成功させて再度の南北首脳会談を実現させたいのです。
あわよくば、ローマ教皇が北朝鮮に入るときに自分も一緒にその会見の場にいよう――ぐらいは考えているでしょう。さらに妄想を膨らませ、そこで朝鮮戦争の終戦宣言ができないか――まで考えているかもしれません。
文大統領の任期はあとわずかしかありません。ここで一発逆転できなければ「任期後の監獄行き」になるかもしれません。文大統領からすれば、どうしても監獄行かずに済む大きなレガシーが必要なのです。
つまり、ローマ教皇をだしテコにして自身の功績を作ろうという魂胆であると推測できるのです。もちろん来年のノーベル平和賞を狙っているでしょう。これが取れれば、金大中(キム・デジュン)大統領のように監獄行きを免れるでしょうから(金大中さん本人は免れましたが3人の息子は全員脱税あるいは贈賄の疑いで起訴されました)。
(柏ケミカル@dcp)