韓国の尿素水不足の件です。尿素水が不足して物流が乱れている韓国ですが、これは中国が輸出を絞ったためです。
直近のデータでは、尿素水生産の原料となる尿素を韓国は中国に97%依存していました。中国は石炭から尿素を生産してきたのですが、読者の皆さまもご存じのとおり、中国は自国の石炭産出量が減少し、またオーストラリア産の石炭の輸入を絞ったため石炭不足に陥りました。
この石炭不足(それに伴う価格の急騰)が中国の電力不足を引き起こしたわけですが、併せて尿素生産にも支障を来し――尿素は中国国内でも使いますので、輸出を絞る事態になったと考えられます。
というわけで、中国が突然尿素の輸出に「検疫が必須」としたのは、中国内の石炭不足が背景にあると見られます。輸出入の品目に制限をかけるときに「検疫だ-」と言い出すのは中国の常套手段です。
で、韓国。
先にご紹介したとおり、尿素水不足に陥りました。尿素水は還元材として使用されるため、環境規制を順守するために必須のものなのです。ディーゼルエンジンを搭載した自動車のみならず、火力発電所でも使われています。物流が混乱するのみならず、電力生産にも影響を与えかねない状況なのです。
あらゆるコネクションを活用して韓国政府は尿素を確保しようとしています。
そんな中、国内の尿素不足をこれ幸いと法律に反した行為に手を染める人も出ています。
2021年11月12日、韓国の関税庁が税関深刻なしに密輸入しようとした4トン(10Kg入り416個)の尿素水を摘発しました。仁川港から他の貨物に紛れて持ち込もうとしたのを税関が阻止したのです。
韓国の関税庁は「正常に輸入申告した物品に対しては速やかに通関を支援するが、輸入申告をしなかったり、他の品名で偽装して申告したりなど、不法に搬入される物品に対してはリスク管理の観点もあり、通関検査を強化する」と述べています。
先にご紹介したとおり、尿素水の価格は8.5~10倍という高値をつけており(それでも入手困難)、もうけるチャンスと考える人が増えているのでしょうが、密輸はいけません。
韓国政府はむこう3カ月分は確保したので当面不足はないだろう――などと述べたのですが、末端の実際のユーザーまできちんと行き渡ってからの話です。マスク、ワクチンと同じで、政府の見込みと現実は別物です。徐々に沈静化するでしょうが、しばらく時間がかかるのではないでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)