少し長いですが、韓国への投資が激減したという件ですので、最後までお付き合いを賜れれば幸いです。
2021年11月18日、『韓国銀行』が、2021年第3四半期時点での「International Investment Position」(対外資産負債残高:略称「IIP」)を公表しました。
毎月10日前後にご紹介している国際収支統計はフローですが、IIPは非常に重要なストックの統計です。至極下世話にいえば、フローはその時の「いってこい」の記録、ストックは「で、なんぼあんねん」の記録です(例えが下手ですみません)。
IIPは、韓国から外国への投資、外国から韓国への投資、その金額を計上したもので、対外資産と対外負債、対外債権と対外債務の金額が分かります。
韓国から外国への投資による資産(assets)、外国から韓国への投資による負債(liabilities)、資産から負債を引いた純資産(net)を見てみると以下のようになっています。
韓国は、外国への投資金額の方が多く、純資産は「6,092億ドル」(約69兆5,523億円)にもなります。スゲーとなるかもしれませんが、今回ご注目いただきたいのは、以下の異常な増え方です。
純資産(net):6,092億ドル
(対前期比:1,185億ドル増加)
なんと第3四半期は、2021年第2四半期と比較して1,185億ドル(約13兆5,292億円)も増えています。
わずか3カ月で約13.5兆円も純資産が増加したのです。
なぜこんなことが起こるのでしょうか?
理由は、資産・負債の増減にあります。以下を見てください。
資産(assets):2兆1,040億ドル
(対前期比:306億ドル)
負債(liabilities):1兆4,948億ドル
(対前期比:-879億ドル)
純資産(net):6,092億ドル
(対前期比:+1,185億ドル)
資産(韓国から外国への投資)は「306億ドル(約3兆4,936億円)増加」していますが、負債(外国から韓国への投資)は「879億ドル」(約10兆355億円)も減少しています。
この差し引きで天地が13.5兆円。これが純資産(net:韓国と外国との間の投資の収支になる)が激増した理由です。
つまり、これは2021年第3四半期に外国から韓国への投資が激減したことを意味しています。
では、なんの投資が激減したのでしょうか。それもこのIIPの中に記載されています。以下です。
Portfolio Investment(証券投資)が「897億ドル」(約10兆2,411億円)も減少しており、その中の「Equity securities(株式投資)」が、なんと「932億ドル」(約10兆6,406億円)も減っています。
外国の皆さんは韓国の株式から約10.6兆円も資金を抜いたのです。つまり、第3四半期に外国は韓国の株式から巨額撤退したことを示しています。
キャピタルフライトが始まったのでなければいいですが。
(吉田ハンチング@dcp)