韓国の自動車産業は弱体化を続けているとご紹介していますが、もしかしたらコロナ禍、世界的車載用半導体不足の中でその衰亡の速度は上がるかもしれません。
2021年11月の『現代自動車』『起亜自動車』の販売台数が判明しましたが、国内販売、海外販売とも対前年同期比で大きく下げています。このところ毎月このような結果ですので、正確にいえば「また前年割れ」です。
『現代自動車』
国内: 6万2,071台(-11.4%)
海外:25万531台(-18.4%)
小計:31万2,602台(-17.1%)
『起亜自動車』
国内: 4万6,042台(-8.9%)
海外:17万6,190台(-14.3%)
小計:22万2,232台(-13.3%)
※( )内は対前年同期比の増減
ご注目いただきたいのは、海外での販売台数の低下です。
韓国メディアで「韓国電気自動車が海外で○%アップ」「『起亜自動車』のSUVが海外で人気」といった惹句を見掛けますが、それは電気自動車、『起亜』のSUVに絞った場合にそう見えるというだけの話。
全体像としては、上掲のとおり販売台数は減少しているのです。
なぜ海外での販売台数が重要かというと、韓国内の、ドメスティックな自動車販売台数はピークアウトしていると考えられるからです。
これは生産人口のピークアウト、少子高齢化の急進などの理由によりますが、要するに韓国ではこれ以上の自動車は売れません(自律走行車が出てくれば別)。実際、韓国内での自動車販売台数は徐々に横ばいから漸減に移行しています。
以下は、韓国自動車企業の国内販売台数の推移です。
「ウソつけ。2020年には160万台に増加してるじゃないか」と思われるかもしれませんが、2020年の増加はコロナ禍で経済が低迷したので、政府が自動車購入において消費税の減免などの措置を行ったためです。この措置が終わって旧に復したので、韓国内の販売台数は対前年比割れを継続しているのです。
2016年の「158.9万台」をピークに国内の自動車販売は漸減しており、この減少傾向は続くと見なければなりません。
そのため、韓国の自動車産業が業績を伸ばしたければ、海外で勝つしかないのです。
しかし、上掲のように「海外販売台数」は対前年同期比二桁パーセントの減少です。『現代自動車』から「日本に再進出しようか」という無謀な話が出るのは、世界第3位の自動車市場である日本を放置しておくわけにはいかないからに他なりません。
コロナ禍、半導体不足がまだ続きそうですので、韓国の自動車産業はその間にさらに弱体化するかもしれません。韓国自動車企業の業績が2021年はどのように締まるのかにご注目ください。
ちなみに原材料費の高騰に耐えられなくなった『現代自動車』『起亜自動車』は、2022年の新車販売価格を1~2%引き上げるとのこと。
(吉田ハンチング@dcp)