2021年12月07日、韓国の産業通商資源部から「ものすごい自信にあふれた」プレスリリースが出ました。
タイトルが奮っています。
です。
世界1位の水素・アンモニア発電国への飛躍推進
~2022年「水素・アンモニア発電ロードマップ」を設け、インフラ構築およびパイロット実証推進~
政府、国内の火力発電の優れたインフラ、優秀な人材と技術を活用し、世界第1位の水素アンモニア発電国に飛躍する計画である。
○この目的のために、’22年第1四半期中に「水素・アンモニア発電ロードマップ」を設け、大容量アンモニア貯蔵インフラ※構築に着手する一方、2022年下半期にパイロット実証に着手し、2022年を水素・アンモニア発電の元年にすることにした。
※総額400億ウォン(政府240億ウォン)/公募事業で推進/ 2,400万ガロン(約3万トン)規模(1GW級石炭発電にアンモニア20%混合発電時の15日間使用量)
(後略)⇒参照・引用元:『韓国 産業通商資源部』公式サイト「世界1位の水素・アンモニア発電(發電)国への飛躍」
2022年(来年ですよ!)の第1四半期に「水素・アンモニア発電ロードマップ」を策定し、2021年の下半期には総事業費400億ウォン(約38.4億円)でアンモニア貯蔵インフラの構築に着手。2022年には水素・アンモニア発電のパイロット実証実験を行うとしています。
韓国政府は先に「2050カーボンニュートラル」のロードマップを発表し、その内容がまるで実現不可能なものだったので、識者や業界から「無茶苦茶だ」と指摘されたのをもう忘れたのでしょうか。
もう何度だっていいますが、韓国には水素発電、アンモニア発電の技術はありません。いえ、研究は行っているようですが、この分野のトップランナーは、日本・アメリカ合衆国・ドイツで、韓国が容易に追いつけるような状況ではありません。
日本ができるなら我々もできるはずなどと考えているのなら、幻想というほかありません。
もちろん、挑戦するのには意義はありますし、その意気や良し!と褒むべきかもしれませんが、あまりにも無茶なスケジュールですし、「世界第1位に飛躍」とは高すぎる目標です。
このリリースの下部には以下のような無茶なことも書いてあります。
ㅇ『韓国電力』と『電力研究院』は水素・アンモニア供給・安全設備、燃焼試験装置など追加試験設備構築を2022年上半期中に完了し、
ㅇ2023年には最適混合運転技法を導出し、実際の石炭・LNG発電所で適用可能になるように「水素・アンモニア発電ガイド」を設ける計画だ。
※引用元は同上/写真は既存の「石炭発電実証設備」(左)と「LNG発電実証設備」(右)
なぜ、そんな短期間で目標を達成できると考えているのか全く分かりません。
「2022年上半期中」ってあと7カ月もないのです。既存の「石炭発電実証設備」と「LNG発電実証設備」にちょちょいと設備を追加してできるだろうと考えているのでしょうか。
そもそも「2022年を水素・アンモニア発電の元年にすることにした」とはどういう言い草でしょうか。元年になるかどうかやってみないと分からないのではないでしょうか。
韓国政府の根拠のない自信には呆れるしかありませんが、この産業通商資源部の自信がどうなるものか読者の皆さまもぜひご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)