「CoCo債」とは「偶発転換社債」のことで、元々は「Contingent Convertible Bonds」ですが日本語では略して「CoCo債」と呼ばれることが多いです。
CoCo債は金融機関が主に資本増強の手段として発行するもので、ハイブリッド証券の一種とされます。ハイブリッド証券に数えられるのは「株式」のような「債券」のようなものだからで、分かりにくい金融商品だといえます。
普通の「転換社債」(2002年の商法改正によって正確には「転換社債型新株予約権付社債」)というのは、投資家が市場の株式価格を見て「株式に変えちまうか」という「転換」を自由に判断することができます※。
しかしCoCo債の場合には、「発行元の金融機関の自己資本比率がある水準を下回ったら」などの条件によって、強制的に株式に転換されたり、元本の一部(あるいは全部)が削減されたりが行われる仕組みになっています。これをトリガー条項といいますが、これが含まれている債券のような、株式のような、一風変わった金融商品なのです。
2008年にリーマンショックに見舞われ、金融機関の足元をもっと頑健にしておかなければ危ないという共通認識の下、CoCo債は2010年ごろから発行されるようになりました。そもそも欧州の銀行が始めたといわれていますが、やがてアメリカ合衆国、アジアの金融機関にも広がりました。金融機関が資本増強を行うのにいい手段と目されたためです。
CoCo債に投資する甲斐があるのかという点ですが、リターンも大きめに設定されているため、これを好む投資家もいるのです。ただ、金融機関が危なくなると資産価値が吹き飛ぶ可能性も高く、投資を行う前にリスクの大きさを慎重に見極めなければなりません。
※一定期間を過ぎたらなどの条件を満たした後でなければなりません。
(柏ケミカル@dcp)