何度もご紹介しているとおり、韓国メディアは時に妙に自虐的な記事を出すことがあります。これもその一つと言えるかもしれません。
2021年12月14日、『嶺南日報』は『檀国医大』のソ・ミン教授の痛烈な寄稿文を掲載。タイトルは「日本にさえ敗れたK-防疫」というものです。
「さえ」は余計な気もいたしますが、以下にソ教授の寄稿文から一部を引用します。
(前略)
ソウル・仁川などの集中治療の病床稼働率が90%を超えるほどひっ迫し、病床を割り当てられずに入院待機中の人も2,000人が目前だ。待機者の中で死亡者が増えるのは当然の帰結で、12月11日の1日だけ歴代最多の80人が命を失った。
事情がこれほど差し迫っているにもかかわらず、現政権は去る2年間、大声でK-防疫を広報した。
「K-防疫が世界の標準になるだろう」という大言壮語は今考えると笑うしかない。
(中略)
それでも一抹の慰めはあった。私たちが日本より防疫をもっと上手くこなしているという点だ。二度と日本に負けないという大統領の誓いもあったが、35年間植民地だった過去のため、日本には負けたくなかったのというのが国民感情ではなかったか?
今年4月の記事を見てみよう。
「東京オリンピックまで100日、接種率1%にもならない謎」。日本は私たちよりはるかに先に全国民が全部使っても残るワクチンを確保した国なのに、なぜ接種率が低いのだろうか?
インターネットではなく郵便で接種申請をしなければならないという行政の遅い対応が足を引いているのだ――いうのが当時、韓国メディアの分析だった。
あるマスコミは「このような場合、日本がワクチン接種を終えるには126年かかる」という題名で日本の遅い接種を笑うこともした。
果たしてこれが理由だったのだろうか?
事情は全く違った。他の国々のように日本もファイザーとモデルナ、アストラゼネカ(以下アゼ)3種のワクチンを購入した。
しかし、その後の歩みは全く違った。ほとんどの国が購入したワクチンを直接接種に活用したのとは異なり、日本はワクチン3種に対して自国民とは別に臨床試験を行う。これらのワクチンが臨床試験を終えた後に発売されたという点で、日本の歩みは非常に異例だった。
ワクチンを積み重ねておいてなぜ接種しないのか、というマスコミの叱責が続いたが、日本政府は揺るがなかった。
臨床試験が終わった05月20日、日本はファイザーとモデルナのワクチンだけ接種すると宣言する。
どうせ使わないアゼはワクチンを確保できない開発途上国に分けた。
我が国のネチズンは、接種率が1%にもならない国がワクチンを分けてくれるとこれを嘲笑したにもかかわらずだ。
それから5カ月が過ぎて、私たち韓国のメディアは次のような記事を書く。
「日本で最近コロナ19の確定者が急減している。現地メディアによると、前日基準の日本の新規確定者数は391人である。○%も落ちた数値だ」と。
私たち韓国マスコミはこれをミステリーと呼び、コロナ検査の数字を減らしたためではないかという分析を出した。
(中略)
だが、1日2万人の感染者が出たる時にはその数字を信じ、確定者が減少したら操作したというのはあまりにもおかしな話だ。
それよりも、日本がファイザーとモデルナだけを用い、それも間隔を守ってワクチン接種をしたおかげだというのが、はるかに妥当な分析ではないだろうか?
(後略)⇒参照・引用元:『嶺南日報』「日本にさえ敗北したK-防疫」
なかなか名調子な文章です。この後、翻って韓国は……と続きます。以下に引用します。
私たちの過去を振り返りってみよう。
今年2月末、韓国に初めて入ってきたワクチンはアゼで、そのワクチンは高齢者にまず投入された。
首脳会談で5,000万人分のファイザーワクチンを確保した日本とは異なり、私たちは米国から有効期間が残っていないヤンセンワクチン100万Shot分を受け取り、「首脳会談の成果が大きかった」と自話自賛した。
ワクチンの受給ができなくなると、ワクチン会社が臨床試験後に勧告したマニュアルを守る代わりに、任意に接種間隔を増やした。
そのときの言葉は「他の国の事例を見ると、これがより効果的だ」だった。
二次接種に使うべきアゼを一次接種に回し、二次接種分の物量が足りなくなると、いわゆる交差接種、すなわち一次でアゼに当たった人に二次ではファイザーを接種した。
そのときの言葉は「他の国の事例を見ると、これがより効果的だ」だった。
どういうわけかはファイザーで物量が十分になると、より効果的と言った交差接種を諦め、あらかじめ買ってあったアゼは開発途上国に分けたのだ。
(後略)※引用元は同上
なかなか痛烈ですが、韓国政府の行き当たりばったりは教授の指摘どおりでした。
教授は以下のように寄稿文を締めくくっています。
(前略)
最近7日間の新規感染確定者数の平均は、日本113人、大韓民国6,097人。これに加え、日本はコロナ死亡者が0人の日も何度もあるので、「再び日本に負けません」という文在寅大統領の言葉は、少なくともコロナ防疫で分は間違っていた。
今からでも現政府はK-防疫が虚像だったことを認めて謝罪してほしい。
※引用元は同上
というわけで、教授は文政権に「K-防疫は虚像だった」と認め、謝罪せよと要求しています。
文大統領が唯一誇れるものになるはずだった「K-防疫」は破綻しました。残るのは借金増など負のレガシーばかりになりそうです。
(吉田ハンチング@dcp)