韓国メディアでは「年間833億ドル達成!」とにぎやかに報じているかもしれませんが、さあ果たして喜んでいる場合でしょうか――というお話です。
2022年02月10日、『韓国銀行』が2021年12月の国際収支統計を公表しましたので確認してみます。
以下をご覧ください。
貿易収支:44億8,170万ドル
サービス収支:-2億3,580万ドル
第1次所得収支:24億6,700万ドル
第2次所得収支:-6億5,090万ドル
経常収支(上記4つの合計):60億6,200万ドル⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト「2021年12月国際収支(暫定)」
韓国にとって最も重要なのは「貿易収支」です。貿易収支は貿易でのもうけを示しています。
貿易収支が十分に大きくないと経常収支が赤転する可能性が高くなります。コロナ禍の中、外国との行き来が制限されているため、「サービス収支」の赤字が小さく済んでいるので助かっていますが、本来ならサービス収支の赤字はもう一桁大きいのが普通です。
2021年12月の貿易収支は、通関ベースでは「-4億5,200万ドル」と赤字でしたが、国際収支統計では予定どおり黒転。以下は先の記事でも貼りました2021年の貿易収支の推移です。
上掲のとおり、12月の貿易収支は2021年中では最低の金額です。資源・資本財価格の急騰によって貿易収支が減少傾向にあり、これが韓国にとっては問題なのです。
経常収支が半減しました!
ちなみに、経常収支の推移を見ると以下のようになります。
外国への配当支払いが集中する04月には、韓国の経常収支はどかんと減ります。
これが「残酷な四月」と呼ばれる所以ですが、2021年04月の経常収支はわずか「1.8億ドル」しかなく、2020年04月に続いて赤字になる寸前でした。
貿易収支が激減したため、「残酷な四月」を別にすれば、12月は経常収支が2021年中最低にまで落ち込んでいます。
ちなみに、2020年12月の経常収支は「120.6億ドル」もあったのです。2021年12月は「60.6億ドル」しかありませんから、驚くなかれ「49.7%減少」。ほぼ半減したのです。
2020年と2021年の経常収支を月次で比較すると以下のようになります。
2020年 | 2021年 | 増減率 | |
01月 | 1.8 | 67.8 | 3575% |
02月 | 67.1 | 80.6 | 20% |
03月 | 58.3 | 75.0 | 29% |
04月 | -40.2 | 1.8 | -105% |
05月 | 19.4 | 104.1 | 436% |
06月 | 70.4 | 88.3 | 25% |
07月 | 72.3 | 77.1 | 7% |
08月 | 65.9 | 74.4 | 13% |
09月 | 106.7 | 105.1 | -2% |
10月 | 120.6 | 80.1 | -34% |
11月 | 96.2 | 68.2 | -29% |
12月 | 120.6 | 60.6 | -50% |
小計 | 759.0 | 883.0 | 16% |
↑単位は「億ドル」です。
コロナ禍からの回復で2021年初頭は調子が良かったのですが、(2020年は輸入が落ち込んで不況型黒字だったためもあり)09月以降は前年実績割れが大きくなっていることがお分かりいただけるでしょう。ついに50%にまで落ち込んだのです。
『韓国銀行』、韓国メディアでは「2021年は経常収支900億ドル突破だ-!」と意気盛んだったのですが、結局「883億ドル」で実現できませんでした。
つまり、韓国経済は急減速しているというわけです。
今回の『韓国銀行』の国際収支統計はそのことを示しています。注目は、通関ベースで「-48億8,900万ドル」となった貿易収支が国際収支統計でどうなるか、経常収支はどう締まるのかです。
1カ月後にご期待ください。
(吉田ハンチング@dcp)