もう文在寅大統領の身辺が危うくなってきました。政権末期なので出るわ出るわ――です。
韓国の産業通商資源部を舞台とした「ブラックリスト疑惑」の続報が出ましたのでご紹介します。
なぜ3年もたってから捜査を再開したのか?
この疑惑は、朴槿恵(パク・クネ)大統領時代に任命された公的機関の高位公職者を「文在寅大統領の公約である脱原発に合わない」として不当に辞職に追い込んだ(ホテルに呼び出して辞表を出すように強要した)というものです。
この圧力は明らかな職権濫用として、野党『自由韓国党』(現在の『国民の力』)が、2019年01月、白雲揆(ペク・ウンギュ)元産業通商資源部部長官など4人をソウル東部地検に告発しました。
以降、捜査はおざなりとなり進行していなかったのですが、先にご紹介したとおり、2022年03月25日、ソウル東部地検は突如として産業通商資源部の原発部門に押収捜査に入りました。
03月28日には、ソウル東部地検は辞職に追い込まれた『南東発電』『南部発電』など産業通商資源部傘下の発電子会社4社に押収捜査をかけました。
なぜ3年もたってから突然捜査に動き出したかについて、検察側は「同様のブラックリスト疑惑であった環境部の事件が、金恩京(キム・ウンギョン)前環境部長官などを起訴し奏功した。産業通商資源部の方も同じ構造であるので動き出しただけ」としています。
金恩京さんは、「環境部が所管する機関の役員人事に不当に介入した職権乱用権利行使妨害などの罪」を認定され、2022年01月27日、大法院(最高裁に相当)で懲役2年の実刑判決を下されたのです。
ちなみに、これは文在寅大統領の下で閣僚を務めた人物で初の実刑確定でした。
検察捜査に不当な圧力があったのか?
環境部の方は、すでに上掲のような結果が出ています。
捜査が再開されたことによって、産業通商資源部の方も同じような結末になることが予想されるのですが、ではなぜ産業通商資源部のブラックリスト疑惑の方は3年もの間、放置されていたのでしょうか?
この空白については不穏な情報も出ています。
この捜査に当たった検事に「不起訴にするように不当な圧力」がかかっていたというのです。
韓国メディア『朝鮮日報』の記事から一部を以下に引用します。
(前略)
当時、捜査状況をよく知っている検察関係者は27日、この事件と関連して「一部の検察官がこれまで捜査チームに『疑いの成立ができない事件をなぜまだ不起訴の処分としないのか』と何度も言った」と伝えた。検察の上層部も間接的に同様の立場を示したと伝えられた。
これまで捜査が遅れた背景にはこのような圧迫があったということだ。
(後略)
まだ検察上層部でとどまっていますが、この「不起訴にせよ」という指示は政権に忖度して自ら出したものでしょうか?
それとも文政権の中枢から出たのでしょうか?
もし指示を出した人物がいたとしたら、それは誰でしょうか。
文在寅政権は人事をこれまで好き勝手に行い、お友達で権力を固めた――と批判されてきました。その揺り戻しが来ていると見ることができます。探せばブラックリスト疑惑のようなこと、すなわち恣意的で職権濫用にも当たる人事などいくらでも出てきそうではあります。
(吉田ハンチング@dcp)