2022年04月17日、韓国の金浯洙(キム・オス)検察総長が朴範界(パク・ポムゲ)法務部長官に辞職願いを提出しました。
例の「検察から捜査権を完全に剥奪する法律」に関するドタバタです。
検察を骨抜きにしたい『共に民主党』
韓国で現政権与党が「検察から捜査権を完全に剥奪する法律」を通そうとしています。
『共に民主党』は「国民のため」などと大義名分を掲げていますが、次期政権になって検察が文政権について調査するのを阻むために他なりません。
この刑事法改正案は、「6大犯罪(腐敗・経済・公職者・選挙・防衛事業犯罪と大型惨事)」に限って残っている検察庁の捜査権を取り上げようという内容です。
6大犯罪については新設する「重大犯罪捜査庁」に捜査権を移管します。それ以外の犯罪は警察庁が捜査を担当。検察庁は起訴権だけを持つことになります。
尹錫悦(ユン・ソギョル)新政権の『国民の力』側は、『共に民主党』の強行採決も辞さないという姿勢に猛反発。
「文在寅大統領や李在明(イ・ジェミョン)大統領候補などを守ろうとする意図がある」という当然の疑念を呈しています。
「文大統領を捜査したいのか」と逆ギレ
図星を突かれた『共に民主党』側は「逆ギレ」ともいえる反応をしています。以下に『朝鮮日報(日本語版)』の記事から一部を引用します。
(前略)
朴長官(法務部長官:筆者注)は同日、国会法制司法委員会での質疑で、国民の力の趙修真(チョ・スジン)議員の質問に対し、「逆に問いたい。検察捜査権完全剥奪というものが結局文大統領の捜査をできなくするものだとすれば、趙議員は文大統領の捜査を行うのが当然だと考えているのか。そういう趣旨で質問したのではないのか」
と厳しい口調で反論した。
(後略)
文大統領には数々の疑惑が持たれていますので、捜査されても当然です。しかし、質問に立った趙修真(チョ・スジン)議員はさすがに「当然だと思っています」とは言いませんでした。
検察が捜査権を失っても、文在寅大統領がつくった「高位公職者捜査処」があります。しかし、この「高位公職者捜査処」は、新設されるという「重大犯罪捜査庁」に引き継がれると見られています。
ですので、同法が成立した場合、文大統領および政権関係者を捜査するためには、警察が動く必要があります。しかし、警察にはこの6大犯罪の捜査のノウハウがないことが懸念されます。
もし、『共に民主党』が同法を強行採決して通した場合、文大統領および政権関係者の捜査が難しくなるのは火を見るよりも明らかです。
本当に『共に民主党』がこの法律を通すかどうかにご注目ください。先にご紹介したとおり、尹錫悦(ユン・ソギョル)新大統領になってからでは、拒否権を発動されるかもしれないので、文大統領のうちにしか通過させることができません。
あと3週間で結果が分かります。
(吉田ハンチング@dcp)