韓国
の尹錫悦(ユン・ソギョル)新政権側が日米に対する接触を強めています。
保守寄りの尹新政権は、安全保障の主軸をアメリカ合衆国との同盟関係に置いているためです。
先にご紹介した、「米韓政策協議代表団」団長として訪米した朴振(パク・ジン)議員は、新政権の外交部長官(外務大臣相当)に指名されました。予定どおりです。
2022年04月17日、尹陣営の裵賢鎮(ぺ・ヒョンジン)報道官がアメリカ合衆国に次いで、尹新政権は日本に「政策協議代表団」を派遣する、と発表しました。
「日韓政策協議団」団長には鄭鎭碩(チョン・ジンソク)国会副議長が、副団長には『国民の力』金碩基(キム・ソクギ)議員が選任されています。
このお二人はどのような人物でしょうか?
訪日する鄭鎭碩団長はどんな人物か?
代表団の団長に選ばれた、鄭鎭碩(チョン・ジンソク)さん(身長184cm、体重95kgの巨漢)は現役の議員で国会副議長。
父親は国会議員を6期務め、内務省治安局長を務めたこともある大物議員です。この鄭団長をひと言でいえば、政治的名家出身のサラブレット議員です。ちなみに奥さんは『忠南紡績』創業者の次女。財界とのパイプも太いと見られます。
ただし、大学卒業後すぐに政治の世界に入ったのではなく、大卒後は『韓国日報』に入社。15年間記者として働き、ワシントン特派員、論説委員を務めました。
政治の世界に飛び込んだのは2000年になってからです。第16代国会議員選挙に立候補し初当選します。2010年には李明博(イ・ミョンバク)政権で青瓦台・大統領府の政務首席秘書官。この時期に、李明博(イ・ミョンバク)大統領と朴槿恵(パク・クネ)の会談を実現させ、手腕を高く評価されています。
現在では「忠清道を代表する保守政治家」として知られる存在です。
保守系議員の大物としてその調停能力を評価されたのではないでしょうか。
訪日する金碩基副団長はどんな人物か?
副団長に選ばれた金碩基(キム・ソクギ)さんも現役の国会議員。
警察幹部候補生第27期卒(首席卒業、朴正煕大統領賞受賞なので超優秀)で、もともとは警察畑にいた人です。
特筆すべきは「日本警察大学本科76期卒業」(1992~1994年)というキャリアがあることです。
盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代に慶北地方警察庁長、大邱地方警察庁長、警察総合学校長を歴任。李明博(イ・ミョンバク)政権初期の2008年警察庁次長、ソウル地方警察庁長を務めました。
順調にキャリアを積んできたのですが、2009年の龍山事件(長くなるので割愛します)の責を負って退任。これを期に政治活動へと転進します。2011年には駐日大阪総領事館総領事を務めています。
さらに注目すべきは、『日韓議員連盟』の韓国側幹事長であることです。
国会議員に初当選したのは2016年。このときは『セヌリ党』から出馬しています。ちなみに朴槿恵(パク・クネ)大統領が弾劾された際には「弾劾反対」の意思を明らかにしています。
金碩基(キム・ソクギ)議員は日本に関わる発言をしたことでも知られています。
2021年07月「日本の自民党政府は来年大統領選挙で韓国が政権交代になることを願っている」という主旨の発言を行い、韓国内で物議を醸しました。
日韓議員連盟幹事長で日本通と目される金碩基(キム・ソクギ)議員を副団長に立てたわけです。
 
 
安易な妥協をしないように要注意
というわけで、訪日する「政策協議代表団」の団長と副団長は、保守系の大物と、日本通と目される『日韓議員連盟』幹事長です。尹新政権の日韓関係を改善したいという意図は読み取れます。
しかし、日本としては安易に妥協することはできません。韓国を甘やかさないように注意が必要です。裏でアメリカ合衆国のバイデン政権が「韓国に妥協してやれ」などと言い出していないかも気になるところでです。
2022年04月24日に訪日し、28日まで「外務省をはじめとする政府と国会、財界、言論界、学界」各士と協議を行うとのこと。岸田政権がどのように対応するのかご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)