韓国は例の「鉄鋼製品への関税問題」でアメリカ合衆国にしつこくアプローチしています。
今度は駐韓米国大使代理に交渉を要求し、また門前払いを食らったようなのでご紹介します。
これまでのあらすじをご存じの方は以下の小見出しのブロックを飛ばし、次の小見出しまで飛んでいただいても大丈夫です。
韓国の「鉄鋼課税」に関するドタバタ
トランプ政権時代に、合衆国は国内の企業を保護するために通商拡大法232条を盾に取って外国製の鉄鋼・アルミニウムに追加関税を課したたことが始まりです(鉄鋼製品は25%、アルミニウムは10%)。
合衆国は「関税を課されたくないなら数量割り当てを受け入れろ」と迫ったのですが、EU、日本、イギリスはこれを拒否。
韓国は数量割り当てを受け入れました。2015~2017年の輸入量(年平均383万トン)の70%という数量制限で、これによって韓国製鉄鋼は30%輸出量が減ったのです。
当初、韓国は「合衆国と真っ先に交渉妥結した」と誇っていました。
ところが、イギリス、EU、日本はバイデン政権になってから「一定数量までは追加関税を課さない」という譲歩を引き出しました。日本も合衆国と合意に達し、2022年02月08日、共同声明が出されています(腹立たしいことに鉄鋼製品については譲歩したのですがアルミニウムはそのままです)。
特に日本が合衆国から譲歩を引き出したことに韓国は焦っています。
日本製の品質の優れた鉄鋼製品が合衆国市場に多く入ることになり、韓国製品がシェアを失う可能性が高いからです。
Money1でもご紹介してきたとおり、韓国は、
2022年02月:同部の呂翰九(ヨ・ハング)通商交渉本部長が再交渉を要求
と合衆国にアプローチしてきたのですが、いずれも不発。合衆国は「再交渉はしない」と韓国を門前払いし続けました。
02月11日には、産業通商資源部は合衆国に門前払いされたと告白するプレスリリースを出しています。
すがりつく韓国と門前払いする合衆国
2022年04月19日、韓国の産業通商資源部から「呂翰九(ヨ・ハング)通商交渉本部長が駐韓米国大使代理(クリストファー・デル・コルソさん)と会談」というプレスリリースが出ました。
この中で、韓国政府が鉄鋼関税問題について再交渉を要求した旨が書かれています(メインの議題は「インド太平洋経済フレームワーク」)。
以下はそのプレスリリースです。
※以下が鉄鋼関税に関する部分です。
➋ 鉄鋼232条
□引き続き、呂本部長は韓国に対する鉄鋼製品に関する232条措置の改善が必要であることを強調し、この問題がこれまで上級で数回議論されてきた事案であるだけに、合衆国大使代理の関心と支援を要請した。ㅇ特に、これまで合衆国側が232条措置関連でEU、日本、イギリスなどと進行した優先交渉が終わった状況であり、経済・安全保障の核心同盟国である韓国とも早急に232条措置改善のための議論が本格化されるべきであることを強調した。
EU、日本、イギリスとは交渉が妥結したにもかかわらず、韓国とは交渉さえ行われていないことに対する「強烈な不満」がうかがえます。
前記のとおり、当時韓国は数量制限について唯々諾々と受け入れたのです。
すなわち交渉が行われない原因は韓国側にあります。
合衆国からすれば「お前、あの時OKって言ったじゃん!」なのです。それを今になって、韓国は「EU、日本、イギリスが再交渉したからオレたちともすべき」と言っているのです。
また、「経済・安全保障の核心同盟国である韓国」などと述べていますが、韓国の文在寅政権がこれまで反米路線を取ってきたために、合衆国がもはや韓国を同盟国と見ているのかどうかも怪しくなっています。
これこそ身から出た錆であって、誰も同情には及びません。
どうも韓国は「韓国に親米政権ができれば合衆国は喜んで迎えてくれる」と考えている節がありますが、果たしてそのような甘い見通しで合衆国と渡り合えるのか甚だ疑問です。
傑作なのは、このプレスリリースにこの件について一切合衆国側の反応が書かれていないことです。
積極的なレスポンスがあったのであれば、当然書いたはずです。
それがないということは、合衆国側は交渉要求に対して「完全にスルーした」としか考えられません。つまり、またしても「門前払い」なのではないでしょうか。
先にご紹介したとおり、Gina Raimondo(ジーナ・レモンド)合衆国商務省長官自身が「韓国と議論するつもりはない」と明言しています(以下記事参照)。
韓国が本件でどこまで粘るのかにご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)
(吉田ハンチング@dcp)