韓国「信用格付」ずんずん下がる建設会社。負債比率467.9%も

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分かっていたことですが、韓国の不動産セクターが一天俄にかき曇り――な感じになってきました。韓国の金融当局がPF(プロジェクトファイナンス)問題に絡み、「玉石の選別に乗り出す」と言及したからです。

信用格付け会社の動きも当局の方針変更を裏打ちしています。

先に『泰栄建設』がワークアウト申請を行ったことをご紹介しましたが、信用格付け会社『韓国企業評価』は、一応「A-」は維持したものの、2023年12月21日に格付け見通しを「安定的」から「否定的」に変更しています。次に「BBB+」に下落することを示唆したのです。

『泰栄建設』はPF関連の借入金の残高は「2.3兆ウォン」あると見られ、このうちエクスポジャーは約1兆ウォンと推測されます。現在から2024年02月にかけて満期を迎える金額は約1,900億ウォン。

先にご紹介したとおり、同社はグループ企業から「1,133億ウォン」の短借の実施しました。満期に備えたものと考えれば辻褄は合います。

現在、韓国で「大丈夫か?」と考えられているのは、韓国建設最大手に数えられる『GS建設』です。

Money1でもご紹介したことがありますが、同社は「鉄筋ヌケ」マンションで注目されました。

韓国「第5位の建設会社」が“手抜き工事”で株価暴落「3,886億が蒸発」問題は流動性懸念
韓国に『GS建設』という建設会社があります。韓国ではTop5に数えられる最大手会社の一つですが、手抜き工事が発覚しました。事の起こりは、2023年04月29日、同コンソーシアムが施工を担当した仁川の新都市マンション建設現場で地下駐車場が崩壊...

『韓国企業評価』は、2023年12月22日に『GS建設』の格付けを「A+」から「A」に格下げしています。

「拡大した財務負担が中期的に続くだろう。国内住宅景気の低下、原材料や人件費の負担などを考慮すると、短期的なキャッシュフロー改善や資本増強を通じた財務構造の改善は難しいだろう」という評価です。

『GS建設』の2023年09月末時点の純借入金は2兆6,059億ウォン。負債比率は250.3%

韓国では、負債比率が200%で危険とみなされますから、警戒すべき数字です。

『新世界建設』もまた格付け見通しが下げられています。『韓国企業評価』は、2023年11月に(「A」は維持したものの)、格付け見通しを「安定的」から「否定的」に下げました。

『新世界建設』の直近1年の株価推移を見てみると以下のようになるのです(チャートは『Bloomberg』より引用)。

こういうときは『Bloomberg』のチャートが一番鮮やかできれいですが、同社の株価がだだ下がりであることは一目瞭然です。

実際、財務状況も悪く、同じく2023年9月末時点で借入金は3,785億ウォン。2022年末時点(1,125億ウォン)と比較して約3.4倍に積み上がっています。借金でガラをかわしているのを如実に示す数字です。


↑『DART』に公示された2023年第3四半期時点での『新世界建設』の損益計算書。

負債比率はなんと467.9%。危ないどころではありません。とはいえ、当局としては飛ばすわけにもいかず、できるだけのワークアウトを行わせて、財務状況を危険域から離脱させる必要があります。

――というわけで、建設会社がいよいよPF問題の正念場を迎えそうな気配となってきました。2024年第1・2四半期は韓国の不動産セクターに要注目です。

(吉田ハンチング@dcp)

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