韓国は「EUや日本に遅れをとった」として、アメリカ合衆国が現在「鉄鋼に科している追加関税」について再交渉させろと躍起です。
ダウンタウンの浜田さんなら「必死になんなよ」とたしなめるかもしれませんが、韓国としては、EU、日本の追加関税が緩和されることによって自国製品のシェアが下がる可能性があり、座視できないのです。
これまでのあらすじ
そもそもトランプ政権時代に、自国製品を保護するため、通商拡大法232条を盾に取って外国製の鉄鋼・アルミニウムに追加関税を課したたことが始まりです。
合衆国は「関税を課されたくないなら数量割り当てを受付けろ」と迫ったのですが、EU、日本、イギリスはこれを拒否。
韓国は数量割り当てを受け入れました。2015~2017年の輸入量(年平均383万トン)の70%という数量制限で、これによって韓国製鉄鋼は30%輸出量が減ったのです。
当時は、もめるEU・日本・イギリスを尻目に「無関税を勝ち取った!」などと誇っていたのです。
ところが、もめた各国はバイデン政権になってから交渉を行い「一定数量までは追加関税を課さない」という譲歩を引き出しました。Money1でもご紹介したとおり、日米の鉄鋼についての共同声明が出されました。
韓国はこれに焦っており、これまたMoney1でもご紹介したとおり、2021年11月には産業通商資源部の文勝煜(ムン・スンウク)長官が再交渉を要求。さらに、2022年02月には呂翰九(ヨ・ハング)通商交渉本部長も再交渉を要求したのですが、答えは「NO」でした。
この「NO」は「再交渉はしない」であって、合衆国は議論をする態度も見せていません。
つまり、韓国を門前払いしているのです。
韓国のプライオリティーは高くない
2022年03月24日、『Rueters(ロイター)』に興味深い記事が出ました。
Gina Raimondo(ジーナ・レモンド)アメリカ合衆国商務省長官にインタビューを行っており、「韓国と議論する気はない」と明確に述べています。記事の一部を以下に引用してみます。
ジーナ・レモンド商務長官は23日、イギリスと鉄鋼・アルミニウムへの関税引き下げに合意した翌日、合衆国は韓国とトランプ前政権が結んだ割り当て協定を再交渉する予定はないと述べた。
レモンド商務長官はロイターのインタビューで、「彼らは前政権と独自の取り決めをしていたようなもので、クォーター制の取り決めを再交渉することは、今の私たちにとって高い優先順位ではありません」と語った。
(後略)⇒参照・引用元:『Reuters(ロイター)』「U.S. not looking to renegotiate Trump-era steel quotas with S.Korea, says Raimondo」
「前政権と取り引きしたわけなので、現政権の知ったこっちゃないよ」と言っているようにも聞こえます。
この記事が面白いのは、次のような結びになっていることです。
(前略)
レモンド氏は、合衆国は韓国と強い関係を築いており、ウクライナ侵攻をめぐるロシアへの協調的な輸出規制に参加したことを称賛した。「彼らは、ロシアの半導体を拒否するために私たちと一緒に働いている素晴らしいパートナーだ」と彼女は言った。
「韓国との関係は非常に強固であり、今後もその関係を維持したい」と語った。
⇒参照・引用元:『Reuters(ロイター)』「U.S. not looking to renegotiate Trump-era steel quotas with S.Korea, says Raimondo」
レモンド長官は、韓国を称賛しています(笑)。
韓国を「素晴らしいパートナー」とし、「今後もその関係を維持したい」と言っています。
「門前払いはする」のですが。
(吉田ハンチング@dcp)