日本ではあまり知られていませんが、韓国大統領府の「大統領秘書」は非常に強い権限を持っています。
明日、2022年05月10日、尹錫悦(ユン・ソギョル)新政権が誕生しますので、大統領府の秘書官についてご紹介してみます。
「大統領秘書室長」がトップで、その下に、
・国民疎通
・民情
・市民社会
・人事
と5人(5部門)の「首席秘書」がいます(文在寅政権の場合です:以下同/尹政権は詳細未定)。これらの首席秘書は「首席秘書室」を統括し、それぞれの「室」に「秘書官」が所属します。
例えば、「政務首席秘書」の下には、
・自治発展
・青年
をそれぞれ担当する秘書官がつく――という具合です。
また「政策室長」(大統領府秘書室政策室)の下に、
・経済
・社会
の3人の首席秘書官がいます。同様にここにもそれぞれ複数の秘書官がつきます。
大統領秘書室長は「首相クラス」、首席秘書は「次官クラス」、秘書官は「局長クラス」に該当するといわれます。
また、秘書官の下には関係する行政機関から出向してきた行政官がつきます。
大統領府の秘書官は、大統領の意思に沿って、国務総理(=首相)の統括する行政府を指揮するのが仕事。大統領府秘書官がコマンドを出し、国務総理および政府各機関の長官は実行部隊――といった位置付けになっています。
大統領府は意思決定を行う頭で、政府行政機関はその手足です。ですから、韓国の大統領府の秘書官は、日本の首相官邸の秘書官とは全然違う仕事、役割をこなす職なのです。
尹政権は秘書室を削る
2022年05月10日に新大統領となる尹錫悦(ユン・ソギョル)さんは、大統領選挙時に「大統領府の秘書官を削減すること」を公約としていました。
上掲の首席室のうち、少なくとも「民情首席室」は廃止されるものと見られます。
尹錫悦(ユン・ソギョル)さんは「過去、情報機関を掌握した民情首席室は合法を偽り、政敵、政治的反対勢力を統制してきた(中略)このような残酷を清算する」と述べたことがあります。
この発言に対して、本日までが任期の文在寅大統領は、「現政府を根拠なしに積弊捜査の対象・不法としたことに対して強力な怒りを表わす」と謝罪を要求しました。
文在寅という人は、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領時代に民情首席秘書官だったことがあるので、余計頭に来たのでしょう。
尹錫悦(ユン・ソギョル)新大統領の大統領府がいかなる陣容で船出するのかにご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)