2022年06月17日、韓国の企画財政部が「2022年6月最近の経済動向」を公表しました。グリーンブックと呼ばれています。
今回公表された文書の中で注目は以下の部分です。
4.最近、韓国経済は雇用回復が続き、対面サービス業を中心に内需が緩やかに改善されているが、対外状況の悪化などで高い物価上昇が続く中、投資不振や輸出回復税の弱化など景気減速の懸念
・対外的には、ウクライナ事態の長期化などでグローバルインフレ圧力が持続拡大する中、アメリカ合衆国の大幅金利引き上げなど主要国通貨政策転換本格加速化、サプライチェーン支障持続などで国際金融市場ボラティリティーおよびグローバル景気下方リスクがさらに拡大
・緊急経済対応体制転換など物価・民生安定とマクロ経済・リスク管理に総力対応しながら低成長克服基盤を設けるための新政府経済政策方向の主要課題をスピード感あるように推進
⇒参照・引用元:『韓国 企画財政部』公式サイト「2022年6月最近の経済動向」
ここにきて政府公開文書に「景気減速の懸念」という言葉が出ました。「知っていましたとも!」という話なのですが、それだけ政府が危機感を抱いていることを示しています。
貿易収支が減少しており、これが経常収支の減少、赤字化につながるとき韓国は傾きます。そちらに向かって動いているのですから危機感があって当然です。
この貿易収支の減少は、何度のご紹介しているとおり、輸入金額は増加しているためです。資源価格の高騰に端を発して、韓国が必要な中間財、資本財が値上がりしているので、これを止めることはできません。
ここにきて頼みの綱の「輸出の増加」が鈍化する傾向を見せています。
輸入の増加は鈍化していませんので、どうなるかというと「輸出 – 輸入」で求める貿易収支はさらに悪化します。つまり、貿易収支の減少・赤転が起こりやすくなってきたというわけです。
当然のことながら、韓国の構造上※、経常収支もピンチになるというわけです。韓国の企画財政部もこのようなことは熟知しているはずで、だからこそ最近では「危ない」と言い続けているのです。
なにせ、以下の記事でご紹介したように、秋慶鎬(チュ・ギョンホ)副首相兼企画財政部長官が「私が先頭に立つのでついてこい!」と檄を飛ばすくらいですので大変です。
それにしても韓国のエラい人というのは、すぐに「ワシが討って出る」と言い出します。エラい人にはどっしり構えていただきたいものですが。
※韓国は、貿易収支が大きな黒字でないと経常収支が黒字にはならない構造になっています。詳細については例えば以下の記事をご覧いただければ幸いです。
(吉田ハンチング@dcp)