韓国『サムスン電子』ファウンドリー事業「推計1.5兆の赤字」がなければ……。

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韓国の半導体企業最大手『サムスン電子』ですが、先にご紹介したとおり、2024年第3四半期の業績はコンセンサスに届きませんでした。

2024年第3四半期
総売上:79兆987億ウォン17.35%
営業利益:9兆1,834億ウォン277.37%
当期純利益:10兆1,009億ウォン72.84%

営業利益、当期純利益共に対前年同期比の増減が華々しい数字になっていますが、これは前期の業績が非常に悪かったからです。営業利益率は11%を超えていますが、それでもコンセンサス(証券業界の平均予想値)には届かず株価は下落しました。

( )内は対前年同期比の増減
『韓国金融監督院 公示システムDART』公式サイト

市場コンセンサスは「営業利益:10兆4,000億ウォン」だったので、1兆2,000億ウォン以上、実績が下をくぐったわけです。

『サムスン電子』は、「DS部門(DSはデバイスソリューションの略:半導体事業を担当/引用者注)は、

総売上:29兆2,700億ウォン
営業利益:3兆8,600億

と明らかにしています。

ただし、前四半期と比較して在庫評価損の戻り額が減少し、第1~2四半期に計上していなかったインセンティブ(成果給)の引当金など一時的な費用が増加したため、営業利益に影響を与えた――と説明しました。

また「一時的な費用は、全社の営業利益実績と市場コンセンサスの差を上回る規模だ」と明らかにしました。

この「一時的な費用」の具体的な金額は明示していませんが、実際の営業利益9兆1,800億ウォンと市場コンセンサスの10兆4,000億ウォンの差から考えると、1兆2,000億ウォン以上と推定されます。

『サムスン電子』のファウンドリー事業は大きな赤字を出しており、その規模は「1.5兆ウォン」でないかと推測されています。

――ということは、一時的な費用の1.2兆ウォン(としてこれ)がなければ、DS部隊は5兆ウォンを超える営業利益が出せたことになります。ファウンドリー事業の赤字を解消できれば、さらにその分営業利益を積んで、7兆ウォン弱まで利益を積み増せたという計算にもなるのです。

いささかトラタヌな計算ですが、『サムスン電子』の業績は韓国経済を左右します。とにかく『サムスン電子』には頑張ってもらうしかありません。

在庫評価損の戻り額」というのは、企業が在庫として保有する製品や部品の価値を評価した結果、以前に計上した在庫評価損(在庫の価値が下がったことで発生した損失)を一部または全額取り消すことで計上される利益のことです。

企業が在庫の価値を評価する際、需要の低下や市場価格の下落が原因で、在庫の価格が下がると評価損として損失を計上します。

しかし、その後、需要の回復や価格上昇によって在庫の価値が上がった場合、以前の評価損の一部を「戻り」として取り消し、帳簿上では利益として計上することができます。

簡単に言えば、在庫の価値が一時的に下がって損失として処理したものの、その後の状況改善で価値が回復したため、その分を利益に戻すということです。この「戻り額」が増減することで、営業利益にも影響を与えることがあります。

(吉田ハンチング@dcp)

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