韓国メディアで「双子の赤字だぁ」と嘆く記事が増えています。
韓国メディアがいう双子の赤字は、
・経常収支の赤字
あるいは、
・貿易赤字
のことです。貿易赤字の方は通関ベースでの話ですので、ここではスルーしてより重要な経常収支の方にいきます。経常収支は国際収支統計の話で、韓国はこれが赤字になると大問題です。
確かに04月は経常収支が赤字に転落しましたれども、これは先にご紹介したとおり05月には恐らく黒転します。ですので、05月にはとりあえず双子の赤字は解消されます。
ただし、06月は予断を許しません。06月10日までの通関ベースの貿易収支がひどい赤字だからです。まもなく06月20日時点での輸出入動向が公表されますが、その数字によっては国際収支統計側でも「06月に再び経常収支が赤転する可能性」はあります。
という状況なので、もうひとつの赤字、財政赤字の方にいきます。2022年06月16日、韓国の企画財政部から『月間財政動向 2022年06月号』が出ました。データを見てみます。
以下をご覧ください。
↑第2次補正予算「62兆ウォンのばらまき」まで入れたもの。この時点での予算は「総支出:609.1兆ウォン」「総支出:679.5兆ウォン」で通年「-110.8兆ウォン」になる2022年04月
総収入:75.6兆ウォン
総支出:63.7兆ウォン
統合財政収支:+11.8兆ウォン
管理財政収支:+7.5兆ウォン※統合財政収支は単純に総収入から総支出を引いたもの。管理財政収支は国民年金などの収支も合わせたもの
2022年01~04月累計
総収入:245.9兆ウォン
総支出:267.3兆ウォン
統合財政収支:-21.3兆ウォン
管理財政収支:-37.9兆ウォン
04月は黒字になりました。企画財政部は「雇用回復、消費増加などによる国税・税外収入の増加」によるとしています。
問題は税収の増加分はすでに使いみちが決まっていることです。
韓国新政府は、史上最大の第2次補正予算「62兆ウォン」を組みましたが、この財源を「赤字国債の発行なし」でクリアするために税収が増えた分を充てる――としたからです。
企画財政部の読みどおりに税収が増えればいいのですが、そうならなかった場合には、後になってから「どうすんねん」になってしまいます。
つまり、まあ2022年中は韓国政府は綱渡り状態なのです。
ここまでの財政収支をグラフにすると以下のようになります。
04月の黒字のおかげで少し戻していますが、全く予断を許さない状況であることに変わりはありません。しかし、尹錫悦(ユン・ソギョル)新政権としては、前任の文在寅大統領がとにかく無茶苦茶に支出を拡大しましたので、それと比べて多少なりともうまく収めればポイントを稼ぐことができます。
今のところ合理的に運べているようなので、韓国にとってはいいことでしょう。
それはともかく、今回の企画財政部のデータで最も注目したいのは、以下のくだりです。
ㅇ4월말 중앙정부 채무 잔액은 3월말 981.9조원 대비 19.1조원 늘어난
1,001.0조원(2차추경 기준 ’22년말 전망 : 1037.7조원)ㅇ4月末時点で中央政府債務残高は3月末の981.9兆ウォンに対して19.1兆ウォン増えた1,001.0兆ウォン(2次補正予算基準:1,037.7兆ウォン’22年末展望)
「2022年03月末:981.9兆ウォン」と比較して「19.1兆ウォン」も増え「04月末:1,001.0兆ウォン」となりました。
韓国中央政府の債務はついに1,000兆ウォンを突破したのです。
今のところ「海外の信任を失った」とはなっていませんが、この先、例えば信用格付会社が手のひらを返さないかどうかは注視していなければならないでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)