韓国がドボン騒動を起こす構造は過去2回とも同じ――という件は先にご紹介しました。
1997年:アジア通貨危機
2008~2009年:韓国通貨危機
は、どちらも貿易赤字からの経常収支赤字(あるいは減少)に端を発し、この赤字をファイナンス(穴埋め)するために外国から巨額の資金投入を受け、これが償還できなくなって発生しています。
現在、日本メディアでもちらほら報道されていますが、韓国は貿易赤字が懸念され、また経常収支は「残酷な四月」※の効果があったとはいえ、実際に赤字に転落しました。
またドボン騒動を起こすのではないのか、という懸念があります。
もし、現在の韓国が過去2回と同じパターンでドボン騒動を起こすのであれば、巨額の資金調達の兆候が現れているはずです。
※「残酷な四月」……韓国は外国への配当支払いなどが04月に集中し、経常収支が赤字になりがちです。そのため韓国メディアではときに04月のことをこう呼びます。
「債券による負債」の推移にみるドボンの兆候
興味深いデータを発見したのでご紹介します。
国際収支統計から「債券による負債」の金額を拾い、1980~2021年の推移を見ると非常に面白いことが分かります。
「債券による負債」は、外国人投資家が韓国の債券を購入することによってできる負債です。債券ですから、発行者は定期的に利子を払い、満期になったら元本を償還(返済)しなければなりません。
国債、社債などを発行して資金を得るわけですが、簡単にいえば借金であり、債務です。
以下をご覧ください。
⇒データ出典:『韓国銀行』公式サイト「ECOS」
※「ECOS」国際収支統計のデータを基にMoney1編集部でグラフ化。国際収支統計なのでフローであることに注意してください
「1997年のアジア通貨危機」前の1996年、「2008~2009年韓国通貨危機」前の2007年、「債券による負債」はピークを迎えています。
これはつまり外国からの巨額の資金調達に他なりません。具体的な数字を挙げれば以下のようになります。
1996年:155億6,080万ドル
2007年:576億9,000万ドル
2021年はなんと「737億5,470万ドル」にもなります。
Money1では『韓国銀行』から発表があるたびに、その都度外国人投資家が「株式」「債券」市場にいくら資金を突っ込んでいるのかをご紹介してきましたが※、2021年は確かに異常なほどの資金投入でした。
※直近は以下記事
過去の2例を見ると、ドボン騒動を起こす兆しは、すでに現れているのではないかと考えることが可能です。
こういう仮説はいかがでしょうか。
韓国は、「債券による負債」の水準が前回のドボン騒動のピークを超え、かつ貿易収支赤字から経常収支赤字が現れると、またドボン騒動を起こす――というのは。
「2021年にピークを迎えた」のだとすると……2022年はドボン騒動を起こすことになります。
さてどうなりますか……韓国経済の行方にご注目ください。
(柏ケミカル@dcp)