【韓国】外貨準備が急減しても「3つの理由」で大丈夫だ! 真逆のことが起こっていても?

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韓国の外貨準備高は、2022年02月から06月まで4カ月連続で減少していたのですが、07月は3億ドルだけ増加しました。

やっと減少に歯止めがかかったのです。


↑『韓国銀行』の公表によると、韓国の外貨準備高は直近07月時点で「4,386億ドル」です。

外貨準備高の減少は過去のドボン騒動を思い起こさせるので、韓国メディアからは懸念の報道が出ています。

そんな中、『朝鮮日報(日本語版)』に「韓国の外貨準備高減少、心配不要な3つの理由」という興味深い記事が出ました。

3つの理由というのは、記事の内容からすると、

韓国の外貨準備高の減り方は他国と比較して大きくはない
対外債務において過去とは違って長期債務の方が多い
対外純資産が過去と違って大きくプラスである

のようです。

緊急時に必要な外貨の量は国によって違いますよ

まず①ですが、コロナ前の2019年平均の外貨準備高と比較して、韓国の外貨準備高は「-5.6%」で済んでいるが、他の国は以下のように減少した――というのです。

イギリス:-16.9%
日本:-9.1%
スイス:-7.2%
フランス:-6.3%

これらの国は、ハードカレンシーを持つ国です。韓国より外貨準備高が減少しようが、はるかに安全です。なぜなら世界で決済できる通貨を自分で印刷できるからです。

また、

ニュージーランド:-55.3%
オーストラリア:-30.5%
シンガポール:-20.3%

を挙げて、韓国はこれらの国より減少幅がマシだから心配しなくていい、と主張しています。

減少幅が小さいから安全という主張は全く意味不明です。

なぜなら、その国によって「いざというときに必要な外貨準備の量」は違うからです。

たとえ55%減少しようが、ニュージーランドにとっていざというときに必要な「十分な量」であれば問題ないのです。

ですから、『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)はその規準を示しているのです。Money1でもかつてご紹介しましたが、その規準を韓国は2021年01月時点で割っていました。

「韓国の外貨準備高」は足りない!『IMF』の適正値を割った。20年ぶり
2022年02月07日、『韓国銀行』から2022年01月時点での外貨準備高が公表されました。毎度おなじみの中身についての話は、別記事にいたしますが、結論からいえば3カ月連続で減少です。3カ月連続で減ったというので韓国メディアが騒いでいます。...

しかし、だから危ないというのではありません。割ったといってもたかだか1%、2%です。

本当に公表している外貨準備高が「外貨準備」の定義どおりにすぐに使えるものであるなら、問題はないはずです。4,000億ドル以上あるというのですから。

「いくら返さないといけないか」償還できるのかが問題

次にです。過去のドボン騒動時と違って「短期債務が小さくなっている」ので大丈夫、といっています。

過去に危機的状況になったときには、ドルが枯渇して短期債務の償還ができなくなったのが原因。今は、お金の借り方も、短期融資(1年以内に償還しなくてはならない)よりも長期融資の方が多い――というのです。

2022年06月時点
短期債務:26.7%
長期債務:73.3%

となっており、1997年「アジア通貨危機時」、2008年「韓国通貨危機」の際には、短期債務の比率は50%を超えていたのに比べれば安心だとしています。

そうでしょうか。もっともらしく聞こえますが、そもそも韓国の対外債務は拡大しています。

短期債務の比率が減っていたとしても、それを償還できるだけの外貨が必要なことに変わりはありません。もし償還できない、あるいはロールオーバーできなかったらデフォルトです。

1年以内に返済しなければならない267万円の短期債務、10年で返済する733万円の長期債務、両方を抱えた人がいたとして、1年後に100万円しか返済できなかったらデフォルトではないでしょうか。

「昔は1年以内に返済しなければならない733万円の短期債務、10年で返済する267万円の長期債務を抱えておったもんじゃがのう……」なんて話をされても安心できるでしょうか。

「じいさん、あんた1年後に267万円払えるんだろうな」と聞くのではないでしょうか。

いや、もちろん「短期債務の比率が長期債務より大きい」よりはマシですが。

「真逆のこと」が起こっていても大丈夫なの?

最後に、対外純資産が過去と違って大きくプラスである――です。

確かに韓国は対外純資産がプラスです。対外資産から対外負債を引いたらプラスで、資産の方が多いのです。

③がいわんとしていることは理解できます。

通貨危機のようにウォン安になると、海外に投資されている資金が国内に回帰するはずで(ウォンに換えたら資産が増えるので)、これが防波堤になるはずだ、という理屈です。

つまり、資金が国内に回帰するときにドルからウォンに換えるので、これがウォン高方向への動きになる、ウォン安方向の動きへのカウンターになる――というわけです。

ですが……ウォン安が「1ドル=1,300ウォン」とかつての通貨危機時と同水準まできていますが、実際に起こっていることは「理屈とは真逆」です。

先に少しだけご紹介しましたとおり、国内に資金が回帰するどころか、韓国内から海外への直接投資などは増えているのです。これが『韓国銀行』の懸念する外貨の需給バランスの不均衡です。

資金が帰ってこないなぁ……が現状なのです。

【累計3,105億ドル】韓国への投資は減少。お金は海外に出ていくばかり
お金が韓国から出ていくばかり――という話です。2022年07月27日、韓国のシンクタンク『韓国経営者総協会』が興味深いリポートを出しました。外国から韓国への直接投資が減少しており、逆に韓国から外国への直接投資は急増し、収支で見ると資金の流出...

ですので、も「外貨準備高が減っても心配無用」な理由になるかどうか、怪しいところです。実際に現在機能していないのですから。

結局もとの結論に戻る

「韓国の外貨準備高減少、心配不要な3つの理由」というのは、3つともいかがなものかです。

で、結局いつもの結論になります。

韓国の外貨準備はスグに使えるものなのか、スグに使える金額はいくらあるのかが問題――なのです。それが分からない限りは「減少しても安心」などととても言えません。

(吉田ハンチング@dcp)

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