「大丈夫なのか、そんなことを勝手に言っても」という話です。
「インフレ削減法」をなんとかしたい韓国
韓国では、アメリカ合衆国の「インフレ削減法」(略称:IRA)に対する反感が強まっています。
同法によって、韓国産の電気自動車が合衆国内で補助金の対象にならない(正確には「税額控除の対象にならない」)からです。
韓国政府はインド太平洋経済フレームワークに参加を表明し、韓国企業は合衆国に巨額の投資を行うとしているのに「合衆国に後頭部を殴られた」と怒っています。
「同盟国なのになんだ」という声、「合衆国はFTA違反だ」という声もあります。
主張の正誤はともかく、「インフレ削減法」によって韓国産の電気自動車の競争力が著しく落ちることになるのは確かです。
そのため、韓国政府は合衆国に「インフレ削減法」の修正、あるいは韓国産電気自動車に対する例外措置を要求しています。
2022年08月16日にバイデン大統領が署名して施行されたばかりの法律にすぐに修正が可能とも思えないのですが、とにかく韓国政府は産業通商資源部の通商交渉本部長、第1次官を相次いで派遣し、交渉を試みています。
しかし、Money1でも先にご紹介したとおり、合衆国の方はほとんど門前払いの扱いをしています。合衆国がほとんどまともに相手をしないので……またぞろ韓国の悪いヘキが出ました。
(よせばいいのに)「ボス交渉」への期待が高まっているのです。
――国連総会を機に尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領とバイデン大統領の首脳会談が開催されるじゃないか!というわけです。
「尹 vs バイデン」の首脳会談に期待だ!
2022年09月21日、韓国の国会で、韓悳洙(ハン・ドクス)国務総理(=首相)が野党から「インフレ削減法」について集中砲火を浴びたのです。
韓悳洙(ハン・ドクス)首相は、「韓国産の電気自動車が差別的な扱いを受けることになってしまったが、政府はどうするつもりなんだ」と『共に民主党』の議員から突っ込まれました。
「このような問題が起きているということ自体が遺憾なこと」と韓悳洙(ハン・ドクス)首相は謝罪したのですが、そもそもなぜ首相が謝らなければならないのかがよく分かりません。
韓国の首相が「合衆国の議会で審議される法律」に影響を及ぼすことなどほとんどできないのですから。韓国は「ロビー活動」が大好きな国ですが、ロビーingで多国の法律をねじ曲げることができると考えているのです。
「米韓首脳会談を通じて国益を貫徹する意志を持っているのか」という質問に、韓悳洙(ハン・ドクス)首相は「当然私たちの重要な課題であるため議論すると考える」と答えてしまったのです。
そんなことを安請け合いして大丈夫なのか――です。
そもそも「米韓首脳会談の開催が確定した」という情報自体が大統領府からいまだ出ていません(2022年09月21日16:30現在)。仮に出たとしても、日韓首脳会談の例があるので、本当に開催されるまでは信用できません。
これで米韓首脳会談が「ありませんでした」となれば、大統領室の信頼は地に落ちるでしょう。
先には、高官が「米韓通貨スワップが議題になる予定だ」と話したなどという願望丸出しの報道も出ていましたが、これまたどこまで信用できるか分かりません。
大統領府高官、韓悳洙(ハン・ドクス)首相の主張が確かなら、ずいぶんと韓国に都合のいい韓米首脳会談になりそうです。
※米韓首脳会談については一応「調整中」ということになっているので確報が出るまでは待たないと仕方ないのですが。本当に開催されれば「めでたし、めでたし」です。
(吉田ハンチング@dcp)