韓国内で自動車の新車販売台数が弱ってきています。これは先にご紹介しましたが、2024年第1四半期は「32万2,460台」で、2013年以降で過去最低水準規模に落ち込んでいます(2013年1Qは32万1,420台」。
問題は輸出台数も弱体化してきたことです。
2024年04月11日、韓国の産業通商資源部が「’24年第1四半期自動車輸出、175億ドルで前年同期比2.7%増加」というプレスリリースを出しました。
プレスリリースのタイトルだけ見ると「おお、いい話じゃないか」と思われるかもしれません。しかし、「果たしてそうなのか?」なのです。以下はプレスリリースの中にある「地域別自動車輸出金額」です。
2024年03月
北米:35億6,600万ドル(+13.4%)
EU:8億ドル(-24.7%)
その他欧州:4億1,100万ドル(-23.6%)
アジア:4億500万ドル(-18.2%)
中東:4億500万ドル(-32.1%)
中南米:2億2,700万ドル(-14.5%)
オセアニア:3億1,400万ドル(-14.5%)
アフリカ:3,900万ドル(-24.5%)2024年01~03月(第1四半期)累計
北米:100億400万ドル(+21.0%)
EU:21億5,100万ドル(-21.1%)
その他欧州:13億2,600万ドル(-5.4%)
アジア:12億8,700万ドル(-2.0%)
中東:11億3,600万ドル(-27.3%)
中南米:6億6,100万ドル(-1.5%)
オセアニア:8億6,500万ドル(-11.3%)
アフリカ:9,800万ドル(-25.1%)※( )内は対前年同期比の増減
⇒参照・引用元:『韓国 産業通商資源部』公式サイト「地域別自動車輸出金額」
ご注目いただきたいのは、( )内の対前年同期比の増減です。
「175億ドルで前年同期比2.7%増加」と書いていますが、「じゃあ、その自動車輸出はどの地域で増えたのよ?」です。
上掲のとおり、2024年03月は「北米」以外の全地域で対前年同期比割れです。01~03月、すなわち第1四半期の結果も同様です。「北米」以外の地域は全て対前年同期比でマイナスなのです。
つまり「北米以外全部沈没」という結果。
以前にMoney1でもご紹介したとおり、『韓国銀行』の資料によっても、もはや韓国の自動車輸出は北米市場頼みであることが示されています(以下の先記事をご覧ください)。
※上掲URL記事でご紹介した『韓国銀行』の「わが国主要製造業生産およびサプライチェーン地図(2023)」のリポートは非常に完成度の高い資料。さすが李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁下の『韓国銀行』と思わされます。
上掲の産業通商資源部のデータもそれを裏付けています。
「175億ドルで前年同期比2.7%増加」と喜んでいる場合でしょうか?
北米市場が不調になれば、韓国の自動車輸出はただでは済まないのです。例えば――、
韓国は中国に味方する国であり、とても自由主義陣営国とはいえない。中国の電気自動車輸入を遮断するのと同時に韓国産の自動車も禁輸にしたらどうだろう?という議論がにわかに沸き立ち、韓国産の自動車が北米市場から締め出される
――などはいかがでしょうか。
なにせ、最大野党の党首が「中国には謝謝、台湾にも謝謝、と言っときゃいいんだ」とうそぶくような国なのです。
(吉田ハンチング@dcp)