韓国の関税庁が2021年12月01~10日の貿易統計を公表しました。毎度おなじみですが、データを確認してみましょう。
2021年12月01~10日
輸出:194億9,200万ドル(約2兆2,127億円)
輸入:219億9,200万ドル(約2兆4,965億円)
貿易収支(輸出 – 輸入):-25億ドル(約-2,838億円)
12月01~10日の貿易収支は「-25億ドル」となっています。
これまた毎度のことながら、韓国メディアは「輸出が対前年同期比で20.4%増加」と報じるでしょうが、もう何度だっていいますが、韓国にとって重要なのは「貿易でいくらもうけるか」です。
韓国は貿易収支が大きな黒字でないと経常収支が黒字になりません。アメリカ合衆国のように莫大過ぎる資金流入(金融収支の赤字)があったり、日本のように巨額の第1次所得収支の黒字があったりすれば別ですが、韓国はそうはいきません。
そのため「輸出が増えた万歳!」ではなく、貿易収支がいくらになっているのかに注目する必要があるのです。対前年同期比で見た増減は以下のようになります。
輸出:+20.4%
輸入:+42.3%
貿易収支(輸出 – 輸入):-439.7%
2020年12月01~10日の貿易収支は「7億3,600万ドル」(約836億円)のかろうじて黒字でしたが、2021年12月01~10日は「-25億ドル」でしたので、天地で「32億3,600万ドル」(約3,674億円)も貿易のもうけが減少したのです。
これも毎度おなじみですが、このように貿易収支が減少している理由は、資源価格の急騰、資本財、中間財の値上がりにあります。
関税庁のデータによれば、輸入品目のうち金額の増加が顕著なのは以下です。
原油:+77.8%
ガス:+167.6%
半導体:+37.5%
機械類:+18.4%
原油、ガスは当然として、半導体については意外に思われるかもしれませんが、韓国は半導体強国といいながら、実は半導体を多く輸入する国でもあります。
車載用半導体は98%を輸入に頼っていますし、スマホに使う通信用のロジックチップなども輸入に依存しています。先に台湾『TSMC』が「2割値上げだー」などを行った影響も受けているものと推測されます。
韓国の半導体強国というのはあくまでも、NAND型メモリーやDRAMにおいてのみのことで、実は非常に脆弱(ぜいじゃく)と見ることもできるのです(中国が猛追していますし)。
それはともかく、ここのところの傾向が当月も続いており、12月も貿易収支は赤字スタートとなりました。これがまた最後の10日間(12月21~31日)で黒字にひっくり返るかもしれません。
不思議な現象が起こるかどうかにもぜひご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)