韓国では『現代自動車』『起亜自動車』の、いわゆる韓国ドメスティックな自動車企業が絶好調といわれます。
最も大事な半導体が不調に沈む中、輸出産業の中で気を吐いています。コロナ禍、また車載用半導体不足の反動がきているだけ、という指摘もあるのですが、業績が好調なのは確かです。
例えば、『現代自動車』の2023年第3四半期の業績は以下のようになっています。
『現代自動車』2023年第3四半期
総売上:41兆26.6億ウォン(+8.7%)
営業利益:3兆8,218.0億ウォン(+146.3%)
当期純利益:3兆3,034.5億ウォン(+134.0%)※( )内は対前年同期比の増減
⇒『韓国金融監督院 公示システムDART』公式サイト
ご注目いただきたいのは、( )内の対前年同期比です。営業利益は約2.5倍、当期純利益は約2.3倍に増加しています。
絶好調という数字です。
では、韓国産の自動車(完成車)はどの国に最も多く輸出されているのでしょうか。
『韓国銀行』がまとめた「わが国主要製造業生産およびサプライチェーン地図(2023)」というリポートの中に「2022年」のデータがあります。以下をご覧ください。
韓国の国別完成車輸出(2022年)
第1位 アメリカ合衆国……222億4,600万ドル(41.1%)
第2位 カナダ……32億9,700万ドル(6.1%)
第3位 オーストラリア……32億6,400万ドル(6.0%)
第4位 イギリス……22億3,800万ドル(4.1%)
第5位 ドイツ……17億2,700万ドル(3.2%)
韓国企業産の自動車は、その41.1%が合衆国に輸出されています。カナダが「6.1%」ですので、足すと「47.2%」。
ほぼ半分が北米への輸出ですから、韓国企業産の自動車輸出は北米依存度が異常に高いのです。
面白いのは、上掲ランク外の「その他の輸出国」です。以下のようになります。
フランス:13億6,200万ドル/2.5%
サウジアラビア:13億2,400万ドル/2.4%
イスラエル:12億2,200万ドル/2.3%
カザフスタン:11億200万ドル/2.0%
ロシア:9億9,400万ドル/1.8%
スペイン:9億7,600万ドル/1.8%
ベルギー:7億6,600万ドル/1.4%
ベトナム:6億5,400万ドル/1.2%
ヨルダン:6億3,300万ドル/1.2%
チリ:6億500万ドル/1.1%
オランダ:5億4000万ドル/1.0%
イタリア:5億2700万ドル/1.0%
ウズベキスタン:4億7,000万ドル/0.9%
スウェーデン:4億6800万ドル/0.9%
トルコ:4億2900万ドル/0.8%
お気付きでしょうか? 世界第1位の自動車市場である中国、日本がありません。
中国はもはや韓国から完成自動車を輸出する相手国ではないのです。では、中国の国内での生産が大きいのか? 答えはNOです。
例えば、韓国『現代自動車』の中国工場(3拠点)の生産台数は、
2021年:33.7万台
2022年:25.7万台
と減少しています。つまり、韓国企業産の自動車は中国市場から蹴り出される過程に入っているのです。
日本も大きな市場ですが上掲ランキングにも入らないほど韓国企業産自動車は売れないのです。
韓国企業産自動車輸出は北米および欧州市場頼みというわけです。
(吉田ハンチング@dcp)