韓国「また保険会社が永久債を償還せず」

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『興国生命』が5億ドル規模の外貨建て永久債を早期償還できず、韓国ウォッチャーにも衝撃を与えました。

2009年の『ウリィ銀行』永久債以来のコールスキップ(早期償還を見送り)ということで、韓国の外貨建て債券が信用を失い、こちらでも金利が急騰するのではないかという懸念が出ています。

その最中、今度は『DB生命保険』が300億ウォン規模の永久債(正確には30年満期の劣後債)の早期償還を見送った――というニュースが出ましたので、「またやったのか!」と詳細を見たのですが、こちらは大きな影響を与えずに済みそうです。

まず、『DB生命保険』が早期償還を見送ったのは、ドル建てではなく国内発行のウォン建てです。程度の問題ではありますが、「外国人投資家の引き具合」は遥かにマシで済みます。

次に、韓国メディアの報道によれば、この『DB生命保険』の永久債の場合は「私募債」だったのでまだマシです。

私募債は引き受け手を限定して発行される債券なので、『興国生命』永久債のような公募物よりは影響は小さくて済みます(といっても市場の常識・慣例を破ったことに変わりはありません)。

例えば韓国メディア『毎日経済』は、

(前略)
金融当局は、『DB生命』は『興国生命』の事例とは異なる、と説明する。

『DB生命』は『興国生命』と違って、コールオプションをスキップしたのではなく、投資家と協議してイベント期日自体を延期したという説明だ。

『DB生命』の永久債は公募ではなくプライベートなもので、投資家と協議が可能だった。
(後略)

⇒参照・引用元:『毎日経済』「DB생명, ‘300억 영구채’ 조기상환 연기…당국 “시장 영향 없어”」

などと書いていますが、相当に苦しい説明です。「コールオプションの行使日(早期償還日)」を動かしたのであって、スキップしたのではない、と強弁しているのです。

市場に与える影響こそ違え、「投資家の信用を失った結果は同じだよ」です。

『DB生命保険』は投資家と協議を行ったようですが、当然投資家からは「うそーん」と言われたでしょう。投資家は早期償還が行われるものとして投資するからです。

それを「相談があります」と突然やって来て「早期償還日を延期します」などと言われたら、フライパンで殴ってしまうかもしれません。

今回の『DB生命保険』の永久債は債券市場にそれほど大きな影響を与えないでしょうが、問題は先に起こった『興国生命』の5億ドル分です。

金融当局自身が「(今回の)『DB生命』は『興国生命』の事例とは異なる」と述べているということは、「『興国生命』の事例は深刻」と認めたことにならないでしょうか。

(吉田ハンチング@dcp)

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