韓国が国を挙げて「韓国産電気自動車に対する差別だ」としているアメリカ合衆国のインフレ削減法(略称「IRA」)。
2022年08月にバイデン大統領が署名して施行されたわけですが、韓国製の電気自動車には「最大7,500ドル」の補助金が受けられないことになり(正確には連邦税額控除が受けられない)、他社より価格戦闘力が落ちて売れなくなるという懸念がありました。
IRAの枷をなんとかするために、韓国では尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領はじめ、産業通商資源部、外交部が総動員で合衆国と交渉してきたのですが、その成果は上がっていません。
IRAの影響が出始めたのではないか、というデータがあります。
『CarSalesBase.com』によると、『現代自動車』の主力電気自動車「IONIQ5(アイオニック5)」の米国における販売台数は以下のように推移しています(2022年01~11月)。
⇒データ出典:『CarSalesBase.com』「HYUNDAI IONIQ 5 U.S. CAR SALES FIGURES」
IRAが成立した08月には「1,516台」売れていたのですが、10月に「1,579台」まで戻したものの、11月には「1,191台」まで落ちました。
対前月比で「24.6%」ダウンです。約1/4の売上を失ったことになります。
IONIQ5だけではありません。『起亜自動車』の「EV6」はもっと落ち込みが激しいのです。以下が『CarSalesBase.com』による米国における販売台数の推移です。
⇒データ出典:『CarSalesBase.com』「HYUNDAI IONIQ 5 U.S. CAR SALES FIGURES」
10月の「1,186台」から11月の「641台」まで、実に「46.0%」も減少しました。販売台数はほぼ半減したわけです。
このように、IRAはじわじわと韓国産の電気自動車を売れなくしていると見られます。
政府の交渉努力がすぐには奏功しそうにありませんので、『現代自動車』は合衆国に完成自動車工場を突貫で建てるつもりです。
これでIRAはなんとかなるかもしれませんが、その分国内での生産が減って仕事がなくなりそうです。韓国の完成自動車メーカーは難しい立場に追い込まれています。
(吉田ハンチング@dcp)