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韓国「労働組合が暴れても損害賠償を免れる法律」を通すな!

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タイムリーにご紹介しそこなったのですが、韓国では野党に転落した『共に民主党』が国会で過半数を占めているのをいいことにトンデモな法案を通そうとしています。

ただし提出したのは『正義党』。正義党6人全員に『共に民主党』の議員46人、その他4人の計56人の議員による発議。

一名「黄色い封筒法」。

正式には「労働組合および労働関係調整法改正案」です。

これは、ストライキを起こした労働者に対する損害賠償請求、資産の仮差し押さえを行えないようにしよう――という法案です。

そもそもは2014年に起こった『双竜自動車』での労働争議に端を発します。経営側は労働争議によって損害を受けたとして訴訟を起こし、裁判では労働組合側に「47億ウォンを支払え」という判決が下されました。

ある市民が労働組合を助けるために寄付を行ったのですが、お金が黄色い封筒に入れられていた――というエピソードにちなんでこう呼ばれています。

2016年09月に発議されたのですが、国会では可決できませんでした。

今回の発議は2022年09月14日。改正案の特に問題とされう部分を見てみましょう。

改正案第3条損害賠償請求の制限
1.利用者は、団体交渉、争議行為、その他の第1条の目的を達成するための労働者または労働組合の行為(以下「争議行為等」という)により損害を被った場合に労働組合または労働者に対してその賠償を請求することはできない。

ただし、暴力や破壊により発生した直接損害については、この限りでない。

2.使用者は、第1項ただし書きによる行為が労働組合により計画された場合には、労働組合以外に労働組合の役員や組合員、その他の労働者に対してその損害の賠償を請求することができない。

3.「身元保証法」第6条にもかかわらず、身元保証人は、争議行為等により発生した損害に対しては賠償する責任がない。

4.使用者の営業損失、使用者の第三者に対する債務不履行による損害、またはその他の労働者または労働組合の違法行為により直接発生したものではない損害は、第1項ただし書きにより賠償を請求することができる損害の範囲に含まれない。

経営側が損害賠償できる範囲を著しく制限しています。

経緯側が損害賠償を問えるのは、第三条第1項のただし書きにある「暴力や破壊により発生した直接損害について」だけ――ということになります。

続きは以下です。

改正案第3条の2損害賠償額の制限

1.第3条第1項ただし書きに該当する場合にも損害賠償により労働組合の存立が不可能になる場合には、損害賠償の請求が認められない。

2.労働組合に対する損害賠償額の上限は、事業または事業場別組合員数、組合費、その他の労働組合の財政規模等を考慮して大統領令で定める。

直接被害を受けた金額だとしても、損害賠償請求によって労働組合が存続できないような金額の場合、損害賠償請求できない――としています。

つまり、「経営側はどんなに企業の設備を破壊されても泣き寝入りしろ」といっているのと何が違うのでしょうか。

第2項では、経営側の損害賠償請求を避けるために、請求できる金額を「労働組合の財政規模を考えろ」としています。金額の上限は大統領令で決めるのです。

さらに以下のように続きます。

第3条の3損害賠償額の減免請求

1.第3条による損害賠償の責任を負う者は、裁判所に損害賠償額の減免を請求することができる。

2.裁判所は、第1項の請求がある場合、次の各号の事情を考慮してその損害賠償額を減免することができる。

争議行為などの原因と経緯
使用者の営業規模、市場の状況など使用者被害拡大の原因
被害拡大を防止するための使用者の努力の程度
賠償の責任を負う者の財政状態
損害の発生および拡大に実質的に影響を与える程度
その他の損害の公平な分担のために考慮すべき事情

仮に労働争議で使用者に直接の被害を与え、損害賠償を請求されたしても、裁判所に賠償額の減免を裁判所に請求できるとしています。

①~⑥の条件を考慮して裁判所は、損害賠償額を減免できるのですが、ひどいと思うのは③です。

労働争議によって被害を受けたから賠償請求するというのに、「被害が拡大しないよう努力しなかった」などと難癖をつけられそうです。

さらに同改正案では、「労働条件に事実上の影響力がある者」を労働組合法上の「使用者」と定義する条項が含まれています。

つまり、「使用者の拡大」によって「法の網」を広げるわけですが、このような曖昧な規定では、例えば「政府機関」なども含まれる可能性があります。

賃上げ闘争は自分の所属する企業に対して行うのが普通でしょうが、「最低賃金が低いから」の理由をつけて政府に対して闘争を仕掛け、直接の暴力などによって被害を与える可能性があります。

もしそうなっても、損害賠償請求を免除されたりするのではないでしょうか。

改正がなったとして、この法律を援用すれば「労働争議に見せかけた政府転覆運動」が可能にならないでしょうか。

国民のほとんどが反対している!

この「黄色い封筒法」について、『韓国経営者総協会』が2022年12月04日、全国成人1,000人を対象に実施した国民アンケートの調査結果を公開しました。

それによれば、「労働組合が暴力などの違法な行為をしたとき、民事上損害賠償を受けないか減免されるようにする改正案」について、

賛成:19.9%
反対:80.2%

という結果になっています。

「労働条件に事実上の影響力がある者を労働組合法上の使用者として認める」のについても、

賛成:32.9%
反対:67.1%

となっています。

この結果を見ると、韓国の皆さんの多くは「貴族労組などといわれる現在の労働組合のやりよう」について決していいとは思ってはおらず、むしろ苦々しく感じていることが分かります。

「これ以上労働組合の勝手を許すな」というのが多数派の意見といえるのではないでしょうか。

ちなみに、一部韓国メディアでは、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が「この法律がたとえ国会を通過しても大統領権限で拒否権を行使する」と表明している――と報じています。

(吉田ハンチング@dcp)

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