こういう情報が出るほど危ないのではないのか、という話です。
Money1でもご紹介しているとおり、韓国では不動産PF(プロジェクト・ファイナンス)の時限爆弾に火がつくのではないかと懸念されています。
不動産市場の低迷によって負債の返済が滞ってきているからです。
そもそも不動産PFは、マンション建設や地域の箱モノ開発開発のために行われるもので、完成した暁にはこれだけのキャッシュフローが得られますといった将来の入金を基にお金を調達する仕組みです。
分譲マンションの開発なら、購入者からの入金(不動産ローン)や、大失敗した『韓国レゴランド』なら1年でこれだけの入場者がありますといった計算を基にお金を調達するのです。
証券会社が絡んでくる理由は、CP(Commercial Paperの略:約束手形の一種)のバエリエーションであるABCP(Asset-Backed Commercial Paper:資産担保コマーシャルペーパー)の発行などで手数料がもらえるからです。
何度もご紹介しているますが、これは危ない資金調達法でもあります。というのは、分譲がうまくいかなかったり(予定どおりに売れなかったり)、開発した箱モノに予測どおりお客さんが来なかったりすると、調達した資金を返済できなくなるからです。
韓国では、普通の市中銀行、すなわち第1金融圏に属する貸し手は徐々に不動産PFから手を引いています。懸念されているのは第2金融圏、すなわち貯蓄銀行や証券会社の皆さんです。
では、どのくらいの償還待ちの残高(融資残高)があるかというと、『国民の力』力ユン・チャンヒョンが金融監督院から入手した資料によれば、2022年末時点で「129兆9,000億ウォン」です。
約130兆ウォンですから、ざっくり1/10で日本円にしてみても約13兆円。かなり深刻な金額で、これの10%が不良債権化するだけでも恐らく大変な事態になります。
韓国の金融当局としても不良債権が積み上がることは絶対に避けなければなりません。なぜなら、そのまま金融機関の健全性を揺るがすことになるからです。
延滞率を見てみると、証券会社では「10.38%」と信じられないような高率になっています(2022年末時点)。2021年末には「3.71%」でしたから、6.67%も延滞率が上がったのです。
貯蓄銀行:2.05%
与信専門金融会社:2.20%
ですから、証券会社の延滞率が異常に高いことが分かります(2%を超えているのもいかがなものかですが)。
ぶっちゃけて言えば「危ない」という他ありません。
このような状態を受けて金融監督院は、韓国メディアに対して「貯蓄銀行と与信専門金融会社から不動産PF融資の延滞率を日単位で報告させている」と明らかにしています。
危ないからそうさせているのでしょうが、金融監督院は「金融圏PFローン延滞率(1.19%)は2022年第4四半期(0.86%)比で小幅上昇したが、2012年末(13.62%)と比較すると非常に低い水準」などと述べています。
いや、全体としてはそうかもしれませんが、実際証券会社のセクタ-ではすでに10%を超えているわけで、全体として大丈夫でも個々の会社も大丈夫なのか?――という話です。
という状況ですので、不動産PFはとても危ないのです。
(吉田ハンチング@dcp)