2023年11月01日、韓国の関税庁が「2023年10月の輸出入現況」のデータを公開しました。以下です。
2023年10月
輸出:550億9,300万ドル(+5.1%)
輸入:534億5,700万ドル(-9.7%)
貿易収支(輸出 – 輸入):16億3,600万ドル2023年01~10月累計
輸出:5,193億7,100万ドル(-10.0%)
輸入:5,374億2,200万ドル(-12.3%)
貿易収支(輸出 – 輸入):-180億5,100万ドル⇒参照・引用元:『韓国 関税庁』公式サイト「’23年10月輸出入現況(暫定値)」
10月の通関ベースの貿易収支は「16億3,600万ドル」と薄いながらも黒字となりました。これは読みどおりです。
ご注目いただきたいのは、対前年同期比です。
「+5.1%」と、なんと13カ月ぶりにプラスに転じました。
韓国メディアは、これをもって「やっと輸出が復調した」という記事を出していますが、実はそれほど喜べる数字でもありません。
というのは、プラスに転じたのはいいことですが、韓国の屋台骨を支える輸出はずっと減少を続けてきて、昨年同期、つまり2022年の10月は「524億2,800万ドル」しかなかったのです。
あくまでも、それと比較して「+5.1%」ですので、いわゆる基底効果で「プラスになったように見える」という話です(もちろんマイナスよりはいいです)。
実際、2022年と2023年の01~10月の累計輸出金額を比較すると、
2022年:5,769億6,400万ドル
2023年:5,193億7,100万ドル
となり、2023年は2022年と比較して、まだ「575.93億ドル」も少ないのです。上掲の表組にあるとおり「-10.0%」です。
2022年11月の輸出は「517億7,200万ドル」でした(2022年中で最低だった)ので、また次月も「対前年同期比でプラス!」となるでしょう。
しかし、最低の金額との比較ですから、これもまた基底効果の故です。実はここからが問題なのです。
貿易でのもうけを示す貿易収支で比較してみると、
2022年:-359億3,500万ドル
2023年:-180億5,100万ドル
です。貿易赤字ではありますが、178.84億ドルはマシになりました。ただし、これは不況型黒字が影響した結果。
2023年も残り2カ月。どこまで貿易赤字の金額を減らせるでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)